英国王戴冠式、世界の民主主義への貢献

イギリス・ロンドンでチャールズ国王の戴冠式がおこなわれました。

 

チャールズ国王は、英国の国王ではなく、コモンウェルス・オブ・ネーションズ(英連邦)という国家群の象徴たる長です。コモンウェルスの加盟諸国は、かつての大英帝国の一部を構成していた国が多いのですが、英国領でなかった国も結構あります。また、そういう国が新たにコモンウェルスに加盟を申請するケースが増えています。

 

京都大学総合博物館(夜)
京都大学総合博物館(夜)

コモンウェルスは、英連邦とは言っても連邦政府も連邦議会も、ましてや連邦憲章も持ちません。コモンウェルスの結びつきは、ただ一つ「イギリス国王への忠誠」という概念(観念)だけです。

 

現在のコモンウェルス加盟国は、実に56か国もあります。世界の国の3割に近い数です。

 

このうち、15か国は英連邦王国で、その国の元首が英国王の国です。イギリス・オーストラリア・ニュージーランド・カナダに加えて、ジャマイカ・バハマ・グレナダ・セントルシアなどカリブ海の国々が含まれます。

残る41か国には英国王以外の元首がおります。

 

コモンウェルスの加盟国は、インド・パキスタン・スリランカ・マレーシア・シンガポールなどアジアの国、南アフリカ・ケニア・ガーナ・タンザニア ・カメルーンなどアフリカの国、ナウル・トンガ・サモア・フィジーなど太平洋諸国など、地球上に広く分布します。

 

近年、コモンウェルスにイギリスの植民地ではなかったアフリカの国が加盟することが増えています。1995年の旧ポルトガル植民地のモザンピークが加盟したのがはじめで、2009年に旧ベルギー植民地のルワンダ、2022年には旧フランス植民地のガボンとトーゴがコモンウェルスに加盟しました。これで、アフリカのコモンウェルス加盟国は実に23か国になります。

さらに、南スーダンとブルンジが加盟申請中ですから、アフリカ54か国の半分近くがコモンウェルス加盟国となりそうです。

 

コモンウェルスがアフリカの国々の民主化や民主主義とグッド・ガバナンスの確立に貢献していることは確かです。中国やロシアからの過度な影響力を抑止もしています。英国王あるいは英王室の力は、私たちが普段思っているより、はるかに大きいのです。