同様に確からしいことは滅多にない

 中学数学の統計で「同様に確からしい」という怪しげな言葉が出てきます。

 

ベネッセのwebサイトをみると、「同様に確からしい」の定義は、1つの試行において,根元事象のどれが起こることも同じ程度に期待できるとき,これらの事象は同様に確からしいという。簡単にいうと,「起こりうるすべての結果のどれが起こる可能性も,すべて同じ」ということです。

 

サイコロから学ぶ 確率論(小林道正著)
サイコロから学ぶ 確率論(小林道正著)

一つのサイコロを振ったとき、1の目が出る確率は1/6だと誰でも言います。では、何故1/6なのか?と問うと、正しくこたえられる人はほとんどいないそうです。

 

「サイコロには1から6まで数字が入れてある」→「サイコロには6面ある」→「サイコロは立方体だから」といったこたえになります。

「1から6までの目が均等に出ると期待できる」つまり、同様に確からしいと、正しくこたえられる人は少ないのです。

 

実は、同様に確からしいということは、現実社会ではほとんど経験できません。

 

サイコロの場合は試行回数をどんどん増やすと、僅かに5の目が出る確率が最も高くなることが知られています。これは、5の目と裏側の2の目の凹みの大きさがアンバランスなので2の面が下になりやすいからです。6の目の裏側は1ですが1の目は大きく凹んでいるのでバランスがとれている、また4の目の裏側は3なのでアンバランスが大きくないわけです。

 

これは将棋の振り駒でも同じです。5枚の歩を振って、表(歩)が3枚以上なら振った側が先手で、裏(ト)が3枚以上なら後手です。彫り駒の場合には、歩とトの凹の大きさのアンバランスがあるので、僅かに表(歩)が出やすいようです。将棋の駒には、プロのタイトル戦で使われる盛上げ駒などもあるので、一概にはいえませんがどうも50.5/49.5くらいの比率になるようです。

 

生物学的性別は男女の2種がありますが、生まれる確率は1/2ではありません。民族的な違いはありますが、男性の方が生まれる確率が高くて、日本人の場合では105/100になります。