心は日本人。綺麗なベンチと「二つの祖国」

WBC決勝戦で日本・侍ジャパンがアメリカを倒して優勝しました。

 

連想ゲームです。今日は仕事でクリーニング工場に行って丁寧な仕事ぶりをみました。アメリカ人の野球コーチが、WBC日本チームのベンチが綺麗なことに驚いたとツイートしたのが話題になりました。初の日系人メジャーリーガーのヌートバー選手の活躍が賞賛されています。何となく、山崎豊子の「二つの祖国」を思い出します。

 

WBC日本チームのベンチ
WBC日本チームのベンチ

「二つの祖国」は1983年に発行された山崎豊子の戦争三部作(「不毛地帯」「大地の子」)の一つです。

アメリカで生まれアメリカ人として育った日系二世たちの物語です。日米開戦は彼らに、日本人として生きるのか、アメリカ人として生きるべきかの選択を強いたのです。

 

主役は、ロサンゼルスで日本語新聞の記者をしている天羽賢治。1984年の大河ドラマ「山河燃ゆ」では松本幸四郎(現在の白鴎)が、2019年のTVドラマ「二つの祖国」では小栗旬が演じました。

日系二世ということでマンザール強制収容所に入れられた賢治は、悩んだ末にアメリカ人として生きることを選択して、アメリカ軍の語学兵として太平洋戦争に従軍します。そして、進駐軍の通訳として極東軍事裁判でA級戦犯に・(以下略)。

 

アモウランドリー(山河燃ゆ)
アモウランドリー(山河燃ゆ)

賢治の父・乙七(大河:三船敏郎・TV版:松重豊)は鹿児島から移民としてアメリカに来て、テル(津島恵子・麻生祐未)と、リトルトーキョーでアモウランドリーというクリーニング店を経営しています。

 

クリーニング業は日本人の性質のメタファーです。経験に裏打ちされた技術の確かさ、寡黙に丁寧な仕事をする誠実さが、今も変わらない日本人の性質です。

実際、アメリカ西海岸では多くの日系人がクリーニング業に従事していたようです。

 

乙七とテルはアメリカ人として生きる決断をすることはできず・(以下略)。

 

賢治と惹かれ合うのが、両親が広島からの移民である日系2世の井本梛子(島田陽子・多部未華子)です。日本人であることを選択した梛子は戦時交換船で故郷広島に帰り、原爆で被爆します。白血病を発症した梛子のもとに賢治は急ぎましたが、その死に立ち会うことは叶いませんでした。