プエルトリコは国でも州でもないから強い

 プエルトリコは、過去4回のWBCに全て出場して、前回・前々回はいずれも準優勝です。

 

プエルトリコは、今回のWBCでも準々決勝に進出しており、メキシコに勝利すると準決勝で侍ジャパンと戦うことになります。そんなプエルトリコですが、実は国ではなくアメリカの保護領、つまり植民地です。プエルトリコの人はアメリカ国籍を持ち内政自治権はありますが、外交や国防はアメリカが担い、大統領を選んだり議会で意見を述べることもできません。

 

プエルトリコの位置
プエルトリコの位置

プエルト・リコは「ポート(港)・リッチ(豊か)」という意味だそうです。

 

カリブ海の大アンティル諸島は、一番西に一番大きなキューバ、南がジャマイカ、東にハイチとドミニカ共和国のあるイスパニューラ島、さらに東にプエルトリコという並びです。

プエルトリコの東には、ヴァージン諸島の火山島が連なり、小アンティル諸島へつながり、カリブ海と大西洋を隔てています。

 

プエルトリコの人口は正確にはわからない(アメリカ国籍なので米本土で働いている人が多い)のですが、およそ320~360万人くらいのようです。面積は約9000㎢です。

ざっくり広島県(280万人・8500㎢)や静岡県(360万人・7800㎢)くらいです。

 

プエルトリコ
プエルトリコ・豊かな港

1493年にコロンブスがプエルトリコを発見します。その後、スペインの植民地となり入植がはじまり、プエルトリコの先住民アラワク族は殲滅されます。現在は南米系のカリブ族が多く住んでいます。

 

1898年にキューバ・フィリピンの独立戦争(米西戦争)でアメリカがスペインを破り、プエルトリコはアメリカの植民地になります。これ以降、プエルトリコはアメリカの植民地のままの状態が続いています。

 

現在でもフランス領のニューカレドニア・仏領ポリネシア・仏領ギニア、イギリス領で紛争になったフォークランド諸島・バミューダ・セントヘレナ、アメリカでもグアムや米領サモアなど植民地は残っていますが、プエルトリコほどの規模ではありません。

 

プエルトリコでも、独立した国を目指す意見もあるようですが、アメリカに経済的にも安全保障面でも依存していることから大きな声にはならないようです。むしろ、アメリカの51番目の州となりたいという立州派が一定数いるようです。

2017年の国民投票では立州賛成が97.3%を占めたのですが、これは反対派が投票をボイコットしたためで、投票率は23.2%に過ぎませんでした。つまり、プエルトリコの人は、現在の状況を概ね容認しているというわけです。

 

WBCのような大会で活躍することは、プエルトリコの独立機運を高めるのかなぁ?とも思いましたが、ほぼ全選手がMLBに所属していることから、否定されますね。

また、アメリカの51番目の州になると、まさにアメリカ合衆国の一部ですから、今のようにプエルトリコとしてWBCやオリンピックなど国際的な大会に出場することができなくなります。

 

どうも、プエルトリコは独立も立州も選ばず、今のまま世界一の保護領として21世紀を歩み続けるように思われます。