トラック物流の2024年問題、事業者と荷主の双方の課題

トラック運送事業者は国内に約6万3千者あるが、その99.5%以上が中小事業者です。

 

トラック運送の仕事は、顧客の注文に応じて、発地点から着地点まで荷物を運ぶこと。運送は大切な仕事ではあっても、他者と差別化するのが難しい。決められた時間に、事故無く荷物を届けるのは、顧客からすれば当たり前のことで、価値を認められにくい仕事です。

 

今は昔、トラック野郎
今は昔、トラック野郎

トラック運送業は、顧客からサービスでの付加価値を認められにくく、運賃が安い会社が良い会社とされやすくなります。結果として、運送事業者の多くは顧客に対して弱い立場に置かれています。

 

現在は、燃料や諸資材価格が高騰しており、もともと低い水準だった利益率はマイナスに転落していきそうです。

 

これまで、中小のトラック事業者は、利益水準の低さを労働条件にしわ寄せして乗り切ろうとしていました。ところが、過労運転による大きな事故の発生もあり、労働基準法の厳格運用が2024年4月からはじまります(トラック運送の2024年問題)。トラック運送業の経営は、八方ふさがりになってきそうです。

 

「忙しい、しんどいが 儲けはない」というのが、中小トラック事業の実態です。トラック事業者は、この状況を一刻も早く打破したいと考えているはずです。

そのためには、事業者としての強みが何であって、どのように活かせるかを考えなければなりません。そして、それを社内外に見える化することが大事です。トラック事業者は差別化しにくいとは書きましたが、経営資源は各社で異なるわけですから、何かの特徴は見いだせると思います。それを見つけて鍛えるわけです。

 

一方で、2024年問題は荷主や元請事業者にも大きな課題を突き付けます。2024年以降にはトラック運転手不足が顕在化されます。とりわけ、物流におけるトラック運送の割合の高い九州・中国地方では、不足する輸送能力は20%に達する可能性が指摘されています。また、鮮度が要求される農産水産品で、輸送能力不足はより深刻になりそうです。

 

荷主や元請事業者としても、中小トラック運送事業者を維持・育成していくことが急務になっています。