死刑はんこのパラドックス?押さないのも非人道的

死刑囚のパラドックスは有名ですが、設定が不穏当なのでいろいろなバージョンがあります。抜き打ちテストのパラドックスです。Wikipediaにリンクしておきます。

 

学生たちが教授に言われました。「抜き打ちテストを来週月曜から金曜のどれかの日におこなう。ただし君たちが予測ができない日におこなう。」

これを聞いた学生たちは喜びました。「最終日である金曜日にテストをすることはない。木曜になれば金曜と予測できるので、条件に合わない。同様な理由で水曜になれば木曜しか残らないから木曜も除外される。以下同様の理由で、全ての日が除外されてしまう。」

 

抜き打ちテスト
抜き打ちテスト

教授は火曜日に抜き打ちテストをおこないました。学生たちは抗議しましたが、教授は「君たちは今日テストがあるとは予測できなかったのだろう?」と答えました。

 

このパラドックスは結構いろいろなところで取り上げられるので、検索してみてください。

さて、抜き打ちテストのパラドックスでは、➀月曜から金曜のどれかの日におこなわれる、且つ➁予測ができない日におこなう、という2つの条件を満たすことが求められます。

 

このパラドックスでは最初の「金曜日にテストをすることがない」という仮説が正しいかどうかが問題です。もし、教授が木曜日まで抜き打ちテストをしなかった場合、金曜にテストをおこなうことは本当にできないでしょうか? 

 

学生は金曜日にテストをすることはないと予測しているわけですから、➁予測ができない日におこなう、という条件をクリアしていますよね。当然、➀の条件もクリアです。逆に金曜日にテストをおこなわないと、➀の条件がクリアできないということになります。

ちょっと混乱しますが、似たようなパラドックスが世の中にはたくさんありそうです。

 

ところで、実際に法務大臣が朝はんこを押すのかどうかは知りません。ただ、死刑の執行は予測ができない日に抜き打ちでおこなうのが、人道的なんだろうと思います。

一方で、現在の日本には死刑執行を待っている死刑囚が106人いるそうです。このパラドックスとは違って、金曜日までのどこかといった期限がありません。現在、収監中の死刑囚では判決確定から55年以上になる人もおり、最高齢は94歳です。

個人的には死刑制度そのものに反対なのですが、野放図に期限がないというのも、どうなのかと思います。