創業者4人の名前からつけたケット科学研究所

あるところでケット科学研究所(Kett)の製品について話が出たので思い出話です。

 

先ずはケット科学研究所という会社を知っている人はほとんどいないと思います。ケット科学研究所のWebサイトをみてみました。本社は東京都大田区南馬込、資本金7200万円、従業員77名、年商21.5億円とあります。まぁ、中小企業なんですが、一部のユーザーにはとんでもなく大事な会社です。

 

Kettガス圧水分計
Kettガス圧水分計

我々が愛用していたのが、Kettガス圧水分計です。製品の表面に付着した水分量を測定する必要はよく出てきます。最もわかりやすい水分測定法は、最初に重量を測定したサンプルを加熱して水分を飛ばし(乾燥させ)た後に、再び重量を測定して、その差を求める方法です。

 

しかし、サンプルによっては加熱すると酸化して逆に重量が重くなるものがあります。そこで、そのサンプルが粉体の場合には、ガス圧水分計を使います。容器の中にサンプルと水分と反応してガスを発生する試薬を入れて混合する方法です。発生したガスによって上昇した容器内の圧力から水分量を求めます。

実に簡単な操作なんですが、非常に高い精度で微量水分の測定ができるので重宝しました。

 

ケット科学研究所は、いろいろな水分計などの分析機会を設計開発している会社です。1946年に北海道で創業していて、最初の製品は木材水分計だったようです。その後、林業、農業分野から化成品分野まで、水分計などの測定機器を取り扱っています。農業関係では、中国や韓国、東南アジアから南アジアの米作地域を中心に海外展開も拡大しているそうです。 

 

久しぶりにケットの名前を聞いて、こういうニッチトップ企業が、独立して存在していることが日本の強みなんだと改めて思います。あまり関わることはないですが、これからも頑張っていって欲しい会社です。

 

さて、ケット科学研究所という社名です。てっきり、海外の発明家か技術者の名前とかが由来と思っていたのですが、webサイトをみてびっくりです。『商標は、清原叡・江守栄作・高野庄次郎・多和田四郎の4名のイニシャルを取り、「KETT(ケツト)」とした。』とあります。創業者4人の名前をつけた社名でした。

これに類する社名で有名なのは、小岩井農場ですね。日本鉄道の小野義眞、三菱の岩崎彌之助、鉄道庁長官の井上勝の3人の名前の頭文字をつなげています。

 

実は、東京赴任の頃にケット本社の近くのアパートに住んでいました。通勤ルートではないのですが、散歩はしていました。馬込には圧力計の長野計器の本社もあります。直接の関係はないのですが、大田区はものづくりのまちなので、場所によってはちょっと違った雰囲気の散歩もできて楽しいです。