RORO船(ローローせん)に期待が高まる

このところ下関の造船所からの仕事が増えていると、お客さんのところで聞きました。

 

船にはいろいろな種類がありますが、今注目されているものにRORO船(ローローせん)があります。RORO船とは、トラックやトレーラーが自走で船に乗り込み、貨物を積載したまま運搬できる貨物用の船舶を指します。Roll-On Roll-Offだから、RORO船です。

☞ ふれんどシップ ふね図鑑「RORO船」

 

RORO船
RORO船

RORO船はクルマを載せるので、フェリーボートのことかと思いますが、かなり違います。RORO船には一般のクルマは載せないですし、旅客も乗りません。トラックやトレーラーだけが載ります。

 

プロのドライバーが運転するので、RORO船の船室にはトラックやトレーラーが、まさに寸止めでぎっしり載せられます。フェリーボートと比べれて積載効率が圧倒的に高くなります。また、客室らしい客室も作る必要がありません。

 

尚、コンテナ船は、LOLO船(ロロせん)といいます。トレーラーで運んできたコンテナを港でクレーンやフォークリフトで持ち上げて船に載せて運搬します。Lift-On Lift-Offだから、LOLO船です。

 

RORO船が脚光を浴びているのは、トラックドライバーの2024年問題です。トラックドライバーでは労働基準を超過した長時間労働が常態化していました。これを抑制するための法改正がおこなわれ、2024年4月から適用されます。

☞ 厚労省労働局 トラック運転手の労働時間等の「改善基準のポイント」

 

結果として、運転手さんが1日で運べる距離が短くなり、トラック輸送能力は低下します。2024年以降は、概ね700㎞を超える長距離のトラック輸送は困難になるとさえ言われています。首都圏から700㎞であれば北は青森までカバーできます。北海道にはRORO船かLOLO船を使うようになります。

一方で、西は岡山県まで700㎞になります。宇部市であれば、首都圏から900㎞以上の距離になります。その救世主と考えられているのが、RORO船です。

 

RORO船が造られる隻数が増えているのは、山口県にとってはありがたいのですが、実際の運用ではちょっと不満もあります。首都圏の港を出たRORO船が、広島県や山口県ではなく九州に向かうのです。首都圏から、山口に来るトレーラーが、博多港や北九州の日明や苅田港から東上するというわけです。岩国港や徳山港での取り扱いが増えればいいなぁと思います。

☞ 博多港に就航する国内RORO船 定期航路のご紹介