権を伴って中を執るの弊害(ウクライナ侵略)

権力の「権」旧字体は「權」。元の意味は黄華木(黄英)。秤に使われたことから、権は「はかり」「おもり(錘)」の意味に転じました。

 

漢字辞典によると、権の意味は、「ケン」➀はかり。おもり。 ②はかる、はかりごと。③社会的な重要性、他人に何かを強制することのできる力。「ゴン」➀仮の、臨時の、次位の。とあります。

 

天秤
天秤

「権」はさらに転じて、「はかりごと=人をだますような計画(を立てる)」という意味になり、さらに「いきおい」とか「ちから」という意味を持って、権威・権力・権勢などと使われます。

  

権を「ゴン」と読む場合があります。この場合は、仮、臨時、間に合わせといった意味です。おもりは重さを知りたいものと釣り合うように仮に皿に載せるものです。

 

神社の権宮司とか権禰宜は、宮司や禰宜の副官とか臨時代理とかの意味です。権大納言と言えば、臨時の大納言です。でも、権大納言のほうが大納言よりも偉そうな印象があります。

 

権力というのは、本当は臨時の、そのときだけ行使する力であるべきなんだろうと思います。ロシアに君臨すること24年となるプーチンだけでなく、あまりに長期間、権力の座にいるのは間違いでしょう。しかし、世界には(日本にも)、生涯に渡って権力の座にあることに固執する者がおります。

 

もともと、木でつくった錘ですから、あまり長く風雨にさらされると、朽ちたり苔が生えたりしそうです。いつか、はかりの均衡を保つことができなくなって、ついには宝が皿からこぼれ落ちます。

 

一方で、孟子の言葉に「執中無権,猶執一也(中を執って権なきは、なお一を執るがごとし)」とあります。何が正しいのかをはかることなく中を執ることは、弊害があるという意味です。

中庸を執るには、権(可否・善悪・軽重などをはかること)が必要です。日本では、はかること、評価することを避けて、事なかれ主義で物事を進めることが多いので注意です。