完全に平等な社会 難破船の場合

大勢の人を載せた船が大海原で難破して、大きな島にたどりついた。

 

その島は気候がよく、食べ物も水も豊富にある。島にはあらゆる資源が豊富にあり、どんなものでもつくることができる。島には誰も住んでおらず、且つ過去にも住んだことがない。つまり、島にあるすべてのものには所有者がいない。漂着した人たちにも上下関係は無いので、島の資源をみんなで平等に分けようということになった。

 

島

さて、資源を平等に分けるには、どうしたらよいだろうか?と考えると、これが意外に難しい。

誰かが代表して、資源Aと資源Bが同じ価値だから、Aは○○さんに、Bは△△さんにと、平等に分けることができません。

 

☞ 「平等とは何か」D.ドゥウォーキン

 

仮に同じ面積の土地でも、価値が同じではありません。資源の有用性は、それを使う人次第で変わります。

そこで、人それぞれの好みも加味して平等に分けることにします。それぞれの人に、同じ数の貝殻を渡して、資源1つ1つを順にオークションします。資源Aは○○さんが貝殻■枚で落札というのを繰り返して、全ての資産は平等に分け終えることができました。

 

平等に資産を分けたからといって、みんながずっと平等に生活するわけでもありません。人の能力もまた、人それぞれなので、入手した資源から多くの物を得る人もいます。そうでもない人もいます。さらに、病気やケガで働けなくなる人だっています。災害で被害を受けることもあるでしょう。そのため、時間が経てば、人の豊かさには大きな格差が生まれます。

 

大きな格差ができることも困窮する人が出ることも嫌なので、みんなで保険の仕組みをつくることにしました。働いて得た物を他人に渡すときに対価としてもらった貝殻の1割を、保険として島の神さまに預けておくという決まりです。そして、困った人がいれば、援助することにしました。

 

これが、完全な平等な社会というわけですが、どう思いますか?