農業残渣は重要なバイオマスエネルギー

地球温暖化を防ぐためにカーボンニュートラルなバイオマスの利用は有効です。

 

バイオマスを大きく分けると「廃棄物系」と「未利用系」になります。「廃棄物系」というのは、生産地に近い家畜排せつ物がありますが、たいていは消費地に近いところで発生します。都市ごみ、食品廃棄物、下水汚泥などです。消費地に近い廃棄物をリサイクルしたり、エネルギーとして利用するのは比較的容易です。

 

飼料用とうもろこし
飼料用とうもろこし

「未利用系」のバイオマスの有効利用は結構難しいです。未利用系には、木材の材料として使われない部分とか、食用や飼料用農作物の未利用(不可食)部分~農業残渣~とかがあります。

 

木材ですと、樹皮や根は使われないですし、製材の過程で端材やおが屑ができます。それぞれ、一部は再利用されますが、多くは放置されます。また、山口県では災害を招くので大問題の放置された竹も利用されることがありません。

 

農作物では、例えば水稲を収穫しても可食部分(お米)は重量にすれば1/3ちょっとです。ワラやモミ殻は食べられないので、普通は農地にすき込んで肥料として利用されます。

これがトウモロコシですと、収穫した一本のトウモロコシでも軸と葉を除けば可食部分は1/3ちょっとですから、茎などを合わせると1/5くらいしか食べられません。飼料用や燃料用のトウモロコシは農場で粒だけを収穫するので、4/5は農場で処分されます。

 

こういった農業残渣も立派にバイオマスになるのですが、存在する密度は希薄です。バイオマス発電所に運ぶとなれば、流通過程で使用されるエネルギーの方が大きくなってしまいます。

この課題を解決するには、農場の近くで非常に小規模且つシンプルな仕組みでエネルギーを直接取り出す装置が開発され普及していくことが必要です。

 

大規模なバイオマス発電所をつくることも大事ですが、エネルギーの地産地消で、農村や山村を守っていくことも大事です。「ぽつんと一軒家」という人気番組がありますが、日本各地にエネルギーを自給自足できる一軒家が増えるといいなぁと思います。