親子承継でもM&Aの手順を尽くすとよい

親から子への親族内承継だって、M&A「Mergers and Acquisitions(合併と買収)」の一形態と捉えるとよいかもしれません。

 

一般のM&Aは企業間でおこなわれるものです。譲り渡し企業Aと譲り受け企業Bとの間で、交渉があって合意することによって、AとBとが合併したり、AがBに買収されたりします。このAを親、Bを子とすれば親族内承継でも考え方は同じです。

 

合意
合意

親族間の事業承継もM&Aと同じような手順を踏むことが、将来に禍根を残さないためには大事なんだろうと思います。

 

M&Aで重要なことに「市場環境の調査」があります。企業を譲り受けても販路がなかったり、販売価格が下がっていくことが分かっていれば対策が必要です。そもそもM&Aが成立しないことにもなります。親子承継ではこのあたりが曖昧になりがちです。親にとっては残された時間ですが、子にとっては長い将来に関わります。

 

また「デューデリジェンス(DD:事前調査)」も重要です。親子の間でも、きちんとしておくべきです。財務や税務や資産に関するDDは当然ですが、それ以外の事業や顧客などのDDもするべきです。親にとっては重要な問題ではないとしても、子には看過できないものもあります。例えば、親が昔から世話になった人や会社との間に変に密接な関係で取引を続けているようなケースは、子にとっては迷惑だったりします。

 

子としては冷静な目で判断して、親の会社がM&Aの対象になるのかならないのかを見極めます。そのうえで、親に対して事前に解決しなければならない課題の解消を依頼します。

そのうえで、価値観のすり合わせや人とのつながりを引き継ぎ、新たな経営目標を明確にしていくことになります。