ポカポカオヒサマテルホドニ

山口県北部は今シーズン一番の大雪になりましたが、南部の宇部市は冬晴れです。

 

ブログで何度かご紹介していますが、宇部市では、たくさんの屋外彫刻が常設で展示してあります。公園の広場で、湖のほとりで、駅前で、身の丈以上の大きさの彫刻が鎮座している光景は、さながら非日常の入り口です。ぜひ、宇部市に足を運んで確かめてみていただけたらと思います。

 

宇部駅前の彫刻
宇部駅前の彫刻

それらの展示品は現代彫刻だけあって、見た目がわかりやすい作品ばかりではありません。「いったい何を考えてこんな得体のしれないものを作ったのだろう」と考えこんでしまうものもあります。

 

右の写真は宇部駅前に設置されている彫刻です。さて、この彫刻のタイトルはなんでしょう?

 

「現代アートの父」と呼ばれたマルセル・デュシャンの有名な作品に、『泉』(1917)があります。デュシャンは、既製品の男性用小便器に偽名のサインを入れただけのものを、展覧会に持ち込みました。

『泉』の作品的価値やアート史上の意味合いなどは置いておくとして、少なくともいえるのは、その奇抜すぎる作品は、世界で過去だれ一人作りえなかったモノでした。だからこそ世界中で多くの議論を巻き起こしたわけです。

 

宇部駅前の彫刻に話を戻します。赤く着色した板に、上に人ひとり寝転がれそうな大岩がドカンと乗っかっています。作品名は『ポカポカオヒサマテルホドニ』(1983)です。

 

上の自然そのままの色あいの巨岩に対して、下の赤い鉄板はどこか、か細くみえます。それが他の支えもなしに、駅前の真ん中につっ立っているアンバランスさが面白いです。確かに常人にはなかなか思いつかない造形のような気がします。

 

作品解説によると、「石が平べったい形をしているばかりに、石の重みで重力が地中へベクトルを向けているというより、むしろ、オヒサマがテルホドニ、陽光へ向けてせり上がるように見える」とあります。どうでしょう?あなたにはどんなふうに見えますか?

 

作者の最上壽之さんは、横須賀の平和都市モニュメントや横浜みなとみらいの巨大彫刻で有名な方だそうです。ときわ公園にもう一つ作品が展示されています。

 

おいでませ、山口へ! 彫刻のまち、宇部へ!

(ℳ)