11月10日。士が十の日「十士業」

現在日本では主だったもので十の士業があり「十士業」と呼ばれています。

 

「十士業」という場合は、弁護士・司法書士・行政書士・土地家屋調査士・社会保険労務士・弁理士・中小企業診断士・不動産鑑定士・公認会計士・税理士の、法律・会計系の10の士業を言います。これだけ細かく分かれているのは、世界で日本と韓国(日本の制度が準用された歴史から)だけです。

 

中小企業診断士のバッジ
中小企業診断士のバッジ

会社を設立しようと思うと、定款の作成、議事録の作成を行政書士さんに頼み、法人登記は司法書士さんに、設立した後の税金関係の手続きは税理士さん、従業員を雇うと社会保険労務士さんに、それぞれ手続きを依頼することになります。

 

弁護士さんに頼めばいいじゃないかと思われる人も多いですが、弁護士さんに頼むとお高いです。また、弁護士さんは弁護士業務と税理士業務は自動的にできるのですが、行政書士業務をやろうと思えば、行政書士としての登録が必要です。弁護士さんは申し出れば行政書士に登録できるのですが、皆さんが登録しているわけではありません。

 

何で、こんなにややこしいのかというと、日本の歴史があります。江戸時代までは、行政と司法は分立しておらず一体でした。「お上のお裁き」というものです。

いろいろな行政手続きと訴訟・裁判など司法手続の代理を請け負うところが、江戸では公事宿、地方では郷宿と言います。現代流に言えば、法律事務所です。公事宿の仕事を大きく分けると、代書と代言です。

 

代言人が今の弁護士さんです。

代書人のほうが、その後の社会の変化で分かれてきました。意外なのですが、最初に代書人から分かれたのは特許を専門に代書する弁理士さんです。明治32年のことです。

その後、明治時代に海事(今の海事代理士)と税務(税理士)が分かれ、大正に入って司法(司法書士)が分かれます。戦前に会計(公認会計士)と建築(建築士)が分かれました。戦後になって残った行政(行政書士)から不動産(土地家屋調査士・不動産鑑定士)が分かれ、最後に社会保険(社会保険労務士)が分かれました。

最後に分かれた社会保険労務士は昭和43年にできた制度です。それまでは行政書士がおこなっていたのです。行政書士と社会保険労務士の業務が完全分離したのは昭和55年のことです。

 

分かれてばっかりなので、そろそろまとめようか?という話も出ていますが、なかなか難しそうです。尚、「十士業」のなかに入ってはいますが、中小企業診断士は独占業務も特にないので、こういう議論からは外れています。いいことかなぁ?

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