レディ・ゴディバは美しい貴婦人

今年の4月に山陽小野田市のショッピングモールにチョコレートのGODIVAが開店しました。

 

まぁ、結構な人気を集めています。長蛇の行列とまでは言いませんが、田舎のことですから店頭に人が並ぶ光景はちょっと目を引きます。GODIVAはベルギーの高級チョコレートブランドで世界に2000店舗、日本でも300店舗以上を展開しています。そんなGODIVAもコロナには勝てず北米の128店舗を閉鎖するという記事が1月にありました。

 

レディ・ゴディバ
レディ・ゴディバ

GODIVAというブランド名が、イングランドの伯爵夫人レディ・ゴディバが由来なのは多くに人が知っています。チョコレートの箱の中に、説明文が入っているからです。

 

GODIVAのロゴマークが、全裸で馬に乗るレディ・ゴディバを図案化したものです。もちろん、慎み深い貴婦人が素っ裸で馬に乗っているのは酔狂ではなく、理由があります。

 

GODIVAのwebサイトより・・

1043年、レオフリック伯爵は、コベントリーの領主に任命され、この小さな町を豊かで文化的な都市へ発展させようと決意しました。

伯爵は、初めに大修道院を建設しました。この成功により伯爵は、次々と公共の建物を建てては、領民から取る税を増やします。領民は重税に苦しみます。

 

心優しいレディ・ゴディバは、貧しい領民にさらに重税を課すことがどんなに苦しいことか、伯爵に税を引き下げるよう願い出ました。伯爵は断りましたが、彼女は何度も訴えます。ついに議論に疲れた伯爵は、彼女に告げます。「もしおまえが一糸まとわぬ姿で馬に乗り、コベントリーの町中を廻れたなら、その時は税を引き下げて建設計画を取り止めよう。」

 

翌朝、彼女は一糸まとわぬ姿で町を廻りました。領民たちはそんな彼女の姿を見ないように、窓を閉ざし敬意を表しました。そして伯爵は約束を守り、ついに税は引き下げられました。


このお話は史実ではないようです。1043年のイングランドでは女性に土地を所有する権利が認められていて、コベントリーの町を領有してたのはゴディバ夫人だったそうです。このレディー・ゴディバの物語は、かなり後世になって創作されたものです。

 

レオフリック伯爵夫妻が信心深くて、多くの聖堂や宗教施設を寄進したことは間違いありません。レオフリック伯爵は領主というより政治家で、ときのイングランド王の補佐役(首相のようなもの)を務めていました。このため、コベントリーにはほとんど住んでいなかったようです。

 

ゴディバ夫人の素晴らしい物語なんですが、悪く描かれたレオフリック伯爵にとってはちょっと納得のいかないお話ですね。しかし、この夫妻の仲はとてもよくて、現在もコベントリーの大修道院に並んで埋葬されているそうです。