無謀な最低賃金28円アップで困るのは働く人

中央最低賃金審議会は2021年度の地域別最低賃金の改定について、都道府県の時給を一律28円引き上げるよう求める目安を田村厚労相に答申しました。

 

山口県の場合は、現在の最低賃金が829円なので857円になります。コロナ騒動で、ただでさえ日々の生活に制約があるなかで、最低賃金の大幅なアップは経営者側だけでなく、働く人に大きな負担を強いることになりそうです。雇用調整助成金で失業者の増加を無理に抑えている現状を考えれば、少々無謀な改定のように思います。

 

野菜の仕分け
野菜の仕分け

基本的に、どのような職種、どのような働き方にでも一律に最低賃金を守るように規制するのはいかがなものかと思います。

大企業に勤める熟練労働者をイメージするなら、最低賃金の縛りもあるでしょうが、働き方にはいろいろあります。

 

誰もが、労働生産性の向上を目指しているわけではなく、のんびりと仕事をしたい。ムリはしたくないが、楽しみのために少しは働いていたい。という人も多いのです。最低賃金の引き上げは、そういう人の職場を奪うとともに、生活の質を下げることになりそうです。

 

経営者が雇用者に支払う最低賃金が857円に上がれば、法定福利費も上がります。仮に法定福利費が16%で労働分配率を50%とするなら、雇用者は1時間当たり1990円の付加価値を生まなければなりません。ここで、正味作業時間を全体の50%とするなら、1分間の作業で66円の付加価値です。そんなことを考えて働く雇用者ばかりではないですし、雇う側もそんなことは気にしない職場もたくさんあります。賃金が3.3%上がったのだから、その分たくさん作業してくれ!と言われても困るのです。

 

地方では、時間当りの生産目標が決まっておらず、手待ち時間があっても構わないとか、出勤時間が決まっていないとか、いつでも休めたり、子供や孫を連れてきてもいいなんて職場もあります。労働は苦役であるというのが、最低賃金の考え方の底にあるわけですが、実際はかなり違います。いろんな働き方があってもよいような気がします。