「一帯一路」と「開かれたインド太平洋」

香港で民主化を訴えて中国共産党政権に批判的な「リンゴ日報」が廃刊に追い込まれました。

 

中国政権=習近平氏が強権的な姿勢を強めるのは、自信や驕りではなく、不安や恐れや焦りがあるように思います。一方のアメリカは、トランプからバイデンに大統領が代わっても、あからさまに中国を恐れていますし、中国に対して怒っています。

 

バイデンと習近平
バイデンと習近平

米中対立が激化することは、地政学的に両者の中間に位置する(地理的には中国に近く、価値観は米国に近い)日本にとって、大きな脅威です。

 

近現代の長い期間、中国は雌伏の時を過ごしてきました。中華民族の偉大なる復興という「中国の夢」は叶いそうになっています。その夢の先にある一つが、「一帯一路」であり「米中での世界二分化」です。

 

「一帯一路」は、モンゴル・ロシアを経てヨーロッパへとユーラシア大陸を横断する主帯に、インドシナ半島からASEAN諸国につながる帯、中央アジアから西アジアを経てアフリカ大陸につながる帯で、世界の半分の国をつなげる経済圏構想です。中国が目指しているのは、地球を中国と米国の二大国で二分する「米中での世界二分化」です。

 

これに対して、米国は反発をしてきましたが、成功していません。既に世界経済における中国の大きさは米国と肩を並べるところまで来ています。(2020年の名目GDPはアメリカの22.3兆ドルに対して中国は14.7兆ドル。ちなみに日本は5.4兆ドル)

 

そこで、せめても封じ込め策として「開かれたインド太平洋」構想で、日本・オーストラリア・インドを結び、韓国やASEAN諸国などの同盟国も仲間に入れたいと考えています。

 

しかし、アメリカの同盟国と言っても、経済的なつながりは対米国より対中国の方が大きい国が増えています。日本でも貿易総額(輸入+輸出)では、対米国の1.47倍が対中国貿易の規模です。ASEAN諸国ではこの比率が1.74倍となり、韓国では2倍を、オーストラリアでは3倍を超えます。インドは少し特別で、輸入は中国からが圧倒的に多いのですが、輸出は米国向けが多くて合計するとほぼイーブンです。

 

日本中国と太平洋を隔てる地理的な条件でも、世界第二位の経済規模でも、日米軍事同盟を基軸にした軍事的な力量でも、重要且つ微妙な立場にあります。

中国が平和な大国に育ってくれるものか、中国の夢を追い続けるのか、また米国が中国の孤立化を求めるのか、それは成功するのか、将来を読むのは難しいです。

ただ、中国には軍事的あるいは暴力的な衝突や挑発を続けることは止めるように願います。