今日は立夏、衣更えとクールビスと

今日は立夏。暦の上では夏に入ります。西鶴に「長持に春ぞ暮れゆく更衣」という有名な句がありますが、春を惜しみながら、季節は夏へと移ろいます。

 

環境省(当時は小池百合子大臣)が2005年にクールビスを提唱した際には、その期間は6月1日から9月30日でした。地球温暖化の進行もあって、2011年にスタートが5月1日に変更になっていました。今年(2021年)からは、クールビスが社会的に定着したことと、コロナ禍で在宅勤務を推奨していることから、特に期間の定めをしないことにしたそうです。

 

神職の夏衣装
神職の夏衣装

さて、神社の神職などは、立夏の日に衣更えをするそうです。

ただ、一般的には、衣更えの時期が立夏ではちょっと早いという印象です。以前は、学校や職場では6月1日ぴったりに冬服から夏服への衣更えをしていました。

西鶴のいた江戸時代でも、夏服への衣替えは、二十四節気の芒種(今年は6月5日)とされていました。

 

しかし、近年ではクールビズ運動に加え、確かに5月中の気温が上昇していることもあり、職場では衣更えのタイミングを早めているようです。学校などは、基本の6月1日は変わっていなくても、移行期間を設けて2週間前後先取りすることが多くなっているそうです。

 

神職だけでなく貴族や武家が、立夏に衣更えをするという習慣は、平安時代に定着していた風習です。実は、日本の平安時代に当たる西暦900~1100年頃は、地球全体が温暖化しており、日本でも衣更えの時期が早かったのです。

中世の温暖期と呼ばれるもので、太陽の活動がとても活発になっていました。日本でも平安海進といわれる海面上昇がみられました。ただ、どのくらいの気温だったか、正確なことはよくわかりません。

 

地球の温度は、人間の活動が無ければ、基本的には太陽が活発かどうかで決まります。平安時代以降、江戸時代にかけては、太陽の活動は収まって小氷期といわれる寒冷な時期がきます。江戸時代には、冷夏になって飢饉になることがしばしばありました。

 

現在も太陽の活動は不活発な状況が続いていますが、温室効果ガスの排出という別の理由で地球は温暖化しています。現在(2020年頃)の気温は、平安時代とほぼ同じか、既に少し超えているようです。結果として、立夏の衣更えに違和感がなくなっているかも知れません。