日本国憲法は不磨の大典なのか?今日は憲法記念日

今日は、日本国憲法がつくられて74年目の憲法記念日です。

 

日本国憲法は制定後74年間に渡り、一度も改正されていません。現在の世界の憲法のなかで、非改正の憲法としては最も長寿です。憲法は、一般の法律と比較して改正手続きのハードルが高いのですが、それでも74年間(ほぼ3世代)に渡って改正されたことがないのは異例中の異例です。

 

日本国憲法
日本国憲法

「不磨の大典」とは、「すり減らないほど立派な法典」という意味です。

大日本帝国憲法の発布に当たり、明治天皇が、「現在及将来の臣民に対し此の不磨の大典を宣布す」と宣言したことが由来です。

 

大日本帝国憲法は明治23年(1890年)の制定から改正されることがないままでした。最初で最後の改正が1947年5月3日の日本国憲法の制定です。制定から明治・大正・昭和を経て46年間、一度も改正されなかったので不磨の大典と確かにいえそうです。

日本国憲法も制定から74年間、昭和・平成・令和の3つの時代を生き抜いています。しかし、日本国憲法を不磨の大典としてよいのかは、大いに疑問です。

 

現在に続く憲法として最も長寿なのはアメリカ合衆国憲法です。1788年に制定されていますから、既に233年にもなります。立憲主義憲法の基本と言ってよいでしょう。

 

合衆国憲法は制定時の本文が7条(日本流では7章)ですが、修正条項が27条あります。合衆国憲法は改正される際に、本文を触らず修正をつけ加える方式です。

主な修正条項としては、奴隷制の廃止(1865年)、黒人参政権(1870年)、禁酒法の制定(1919年)と廃止(1933年)、女性参政権(1920年)、大統領の任期上限(1951年)、副大統領の承継規程(1967年)などです。

 

憲法は国の基本法ですから、頻繁に改正されることは好ましいとは言えません。

しかし、不磨の大典として固定化されるのもおかしいです。標準化では、改正可能なものを文書と呼び、変えてはならないものを記録といいます。日本国憲法が、終戦の記録というわけでもないように思います。

 

今朝の日経新聞に日本国憲法の特徴が書かれていました。

・英訳した場合の語数が下から5番目(日本国憲法は世界的にはとても短いわけです)

・統治機構より人権に比重(日本国憲法の制定時に日本は独立を回復していなかったので、国土も確定しておらず、統治機構についての決まりがとても少ない)

・最高裁で法律や条例の違憲判決が10件しかない(最近では、平成27年に女性の再婚禁止期間の設定が違憲とされました)

 

日本国憲法には素晴らしいところも多いのですが、さすがに74年を経て、全く改正できないというのも、拙かろうと思います。よく議論していただければと思います。