お寺を買う人が増えている

お寺や神社などの宗教法人の売り買いが結構盛んになっているようです。

 

お寺や神社も、高齢になって後継者がいないという悩みは中小企業と同じです。信心深い人も減っていますし、そもそも過疎化や人口減少で檀家の数も減っています。お葬式も簡素化されましたし、法事を盛大におこなうことも減ったので、収入が減って経営が難しくなっています。そこで、事業を売却しようと考えます。

 

 

「まんじ」の書き順
「まんじ」の書き順

なんと罰当たりな・・ということもありません。廃寺になって打ち捨てられるほうが、よほど罰当たりです。

但し、お寺や神社の売り買いにも、いろいろなケースがあります。

 

隣町のお寺が後継者がいないので、同じ宗派のお寺の住職さんがそのお寺の住職も兼ねるというのはよくあります。日本のお寺の1/4には住職がいないそうです。住職は、文字通り「お寺に住む職業」なのでちょっと矛盾がありますが、地方では仕方がないことです。

地域にお寺が無くなるのも困るので、兼務していただくのはありがたいことです。

 

今、話題になっているのは、そういうお寺の事情ではなく、主に節税対策を考えたビジネスとしての売り買いです。M&Aです。

宗教法人には、多くの節税メリットがあります。

宗教法人の場合、本業の収入は非課税です。本業の収入とは、お布施や寄付ですが、お守りやお札の授与など物販も含まれます。

宗教法人でも本業以外の収益事業をおこなえば税金がかかりますが、税率が安いです。

本業以外の収益事業がなく、本業の収入が8000万円以下なら記帳も不要で、税務申告もしなくて構いません。

 

宗教法人は、境内地であれば固定資産税が掛かりませんし、不動産取引にかかる税もかかりません。土地を売って儲かっても売却益に税金はかかりません。

 

個人が宗教法人に寄付するのに税金はかかりません。この宗教法人の代表者を子に登記すれば相続税ゼロで相続が完了します。

 

ここで注意が必要なのは、売り買いの対象になるのは単立宗教法人であるということです。

宗教法人は全国に約18万ほどあります。このうち、400が包括宗教法人です。これは、本山(○○宗○○派)といわれる法人です。この法人のもとに被包括宗教法人が17万3千ほどあります。被包括宗教法人は、本山の許可がないと代表になれません。

つまり、売り買いの対象にはならないわけです。

 

そこで、そういうしがらみのない単立宗教法人がでてきます。宗教法人のM&Aについて、公式の統計情報はありません。しかし、宗教法人の総数は減っていますが、単立宗教法人は増えているという事実があります。

新たな宗教法人の認可はほぼゼロなので、被包括宗教法人から単立法人への移行がおこっています。その目的の多くは売り買いだと思われます。