震災のリスクを評価する全国地震動予測地図2020年版

地震調査委員会は地震に見舞われる確率を示した「全国地震動予測地図2020年版」を公表しました。地震発生の確率が上がったところも、下がったところもあります。

 

地震の予測なんて当たるはずないから気にしない。なんて、言わないでください。確かに、地震を正確に予知することはできないのですが、地震発生のメカニズムはある程度わかっています。また、地表、地下、海底の地質の探査技術は年々向上していて、新しい知見も積みあがっています。確率的なリスクの大きさを把握することは役に立ちます。

 

地震動予測地図(地震調査委員会webサイトにリンク)
地震動予測地図(地震調査委員会webサイトにリンク)

2020年版で指摘されているのは、北海道南東部、仙台平野の一部、首都圏、東海~四国地域の太平洋側及び糸魚川-静岡構造線断層帯の周辺地域などで地震の確率が高くなっていることです。

 

2018年版に比べて、東北地方や関東地方北部の太平洋側では、東日本大震災後の地震

活動を考慮して確率が高くなっています。

 

関東地方をはじめ、主に人口集中している範囲では地盤構造の研究が進んだことで、地震の確率に変化が出ています。例えば、横浜市や千葉市は地震発生の確率が下がり(下がっても高いのですが)、さいたま市などは上がっています。

 

企業がBCPを作成するときに、どうしても考慮しないとならないのが地震です。日本の場合は、確率の高い低いはあったとしても、どんな場所でも地震のリスクから免れることができません。地震の際の避難と安否確認は、事業継続力強化の必須事項です。

 

地震防災の第一歩は、人々が地震のリスクについて、知っていること。気に掛けていることです。今年2月の福島県沖地震や、今月の宮城県沖地震で、東北から北関東に住む多くの人たちが素早く対処できたのも、常日頃の関心の高さがあったからです。

 

幸いにも、山口県では長らく地震の被害に遭遇していません。その分だけ、地震への関心が薄れていることは否めません。この機会に、地震への関心を高めて、正しく恐れて、適切に対処できるように準備しておきたいものです。