不老不死が達成できる日まで、ゆるむことなく自粛を続けるよう強制されるのだろうか?
古今東西、世界中の人々が不老不死を目指して研究を続けてきました。何とかして、賢者の石をつくろうという無限の努力があり、今も続けられています。確かに、現代医学の力は生物・生命としての人体であれば、不老不死にすることができるかも知れないと、期待を抱かせる段階に到達しているようです。
古代中国の道教では、錬丹術を用いて不老不死の霊薬(丹)を錬り、仙人となることが究極の理想です。
人が老いるのは、体内に「三尸(さんし)」という三種類の虫がいるからです。この虫を体の外に追い出せば、身体は空気のように軽くなり、仙人=真人となるのです。
特に優れた仙人は、天仙と呼ばれ、天界で無限の生命を得ます。
地上にいる人間は、言わば青虫のようなものです。青虫はいつか変態して、美しい蝶となって大空に飛び立つというイメージです。
そこで、「三尸(さんし)」を追い出す霊薬をつくらないといけません。そこで、練丹術師たちがあらゆる物質を使って、いろいろな霊薬を作り出しました。
その多くは、水銀・ヒ素・鉛といった人体に有毒な物質を含んでいました。
このような霊薬を服用すると、当然ですが副作用(副反応?)が現れます。身体が腫れたり、吐き気がしたり、熱が出て痛みがあったりします。
しかし、練丹術師たちは、これは霊薬が身体の中に隠れた三尸と戦っている証拠だから心配いらない(最近もよく聞く?)といいます。中国では、二千年以上の間、多くの中毒患者や死者を出しながらも、練丹術が廃れることはありませんでした。
そして、練丹術はイスラム世界を経由して、錬金術と名を変えてヨーロッパに広がり、ごく最近まで西洋科学を支配していました。
絵は3世紀の中国の著名な練丹術師である葛洪です。葛洪は、硫黄と硝石の混合物である丹を提案しています。その後、7世紀の練丹術師である孫思邈が同量の硫黄と硝石に焦がした木の実を加えて粉にすることを提案しました。次に、9世紀の練丹術師である趙耐庵が硫黄と硝石にウマノミグサを混ぜた丹が燃えることに気づきます。
この丹は、苦みがあるものの、腫物を治癒させ、感染症の治療にも効果があったそうです。
この燃える丹は、改良を重ねられていきます。苦みを抑えるために蜂蜜を加えた丹は、爆発的に燃えるようになりました。よく燃える丹が、よく効くと思われたようです。どんどん、よく燃える=爆発する丹がつくられるようになりました。
最初の燃える丹の完成から、いくらも経たないうちに、霊薬は不老不死ではなく、兵器として大量の人を殺すことに使われるようになりました。これが、火薬の誕生です。
遺伝子組み換え薬が、究極の生物兵器として使われないように・・と願っています。