集中すべきことを選択するのが経営

うまいことを言うものだと感心しました。経営の要諦は「選択と集中」である、という警句をうまく逆手にとっています。

 

よく考えてみると、同じことを言っているのですが、ちょっと目から鱗の感じがします。確かに「選択してそれに集中するのだ」と言われるより、「集中すべきことを選ぶ」というほうが分かりやすいし、能動的でポジティブな印象を与えます。

 

選択と集中
選択と集中

選択と集中とは、「複数の事業に進出して多角経営を行う企業や、多種多様な製品を取り扱っている企業が、中核となる事業の見極めと選択を行い、組織内の経営資源を集中的に投下することで経営の効率化や業績向上を目指す経営戦略」を指します。

 

選択と集中で成功した企業の例として、三原の八天堂がよく引き合いに出されます。元々は和菓子屋さんでしたが、洋菓子からパンへと製品のジャンルを広げていきました。いわゆる多角化です。八天堂は、その後取り扱う製品(パン)に「くりーむパン(クリームパン)」を選択して、この一つに集中して販売をプロモーションしていきます。

 

田舎の小さな菓子店だった八天堂は、今では北海道から九州、さらに海外4か国に進出するまでになりました。この場合、選択と集中という経営戦略が功を奏したという風に考えるのではなく、集中すべき商品として「クリームパン」を選択した意思決定に注目するべきです。

 

そもそも「クリームパン」って当たり前にある商品です。この当たり前に「冷めても口どけがいい」という、やはり当たり前の機能を結合させたことで、集中すべき商品が誕生したということです。この商品開発には1年半をかけたといいます。

 

ものづくりをおこなっていると、どんどん商品やアイテムが増えていきます。また、事業拡大のためには多角化や多品種化が必要なことは間違いありません。

しかし、そのなかから集中すべきことを見つけ出すこと、既存の商品やサービスをブラッシュアップして集中すべきものに進化させること、が大事なんでしょう。