事業継続には堅牢性と柔軟性の両立

大きな地震でも倒れない建物は、単に堅牢であるわけではなく、柔軟でもあります。

 

法隆寺の五重塔は、何度も地震に遭っていますが、1300年以上も倒れないで建っています。高さは32.5mと10階建てのビルくらいです。全て木造(ヒノキ)なので、総重量が1200トンという重厚な建築物です。ちなみに、高さが10倍:333mの東京タワーの総重量は3600トンです。最新の素材や技術を使っておらず、設計にコンピューターも使用していません。

 

法隆寺 五重塔
法隆寺 五重塔

法隆寺の五重塔が、1300年以上もその姿を維持できているのは、地震がきてもそのエネルギーを逸らすことができるからです。

 

五重塔の重さを支える16本の柱は、礎石の上に置いてあるだけで、固定されていません。

各層も単純に重ねられているだけです。地震があると、1階が右に揺れ、2階は左に揺れ、3階は右・・とくねくねと揺れて、バランスを取ります。

 

一方で、あまりにも柔軟になりすぎるのも問題です。そこで、五重塔には心柱という長くて太い柱が1本通っています。

塔全体が右に傾きそうになれば、心柱は左に動いて自立を保ちます。許容範囲を超えて塔が傾くと、心柱が各階の構造材と接触して、倒壊を防ぎます。

 

会社の継続も法隆寺をモデルにして考えるとよいです。

がっちりと堅牢な会社は、平時であれば継続力がありますが、地震のような大きな外乱が発生すると倒壊する危険が増します。柔軟性が大事です。

 

もし、複数の商品やサービスがあって、バランスが取れるならば好ましいです。右に揺れ、左に揺れても、会社自体は安泰です。

その中心に、しっかりした長くて太い心柱が通っていたら盤石です。会社で言えば、経営のポリシーであり長期目標です。外部環境に翻弄されて、右に左に大きくぶれることがないように、しっかりと支えてくれる心柱を持ちたいものです。


【2020年12月17日追記】

ユネスコが「日本の伝統建築工匠の技 木造建造物を受け継ぐための伝統技術」を無形文化遺産登録することを決めました。目出たいことです。