ジェネリック薬品を製造する工場での原料取り違え事故です。ついには、死者まで出ています。こんな酷い事例は、日本では、何十年も聞いたことがありません。
小林化工は、製造販売している経口抗真菌剤『イトラコナゾール錠 50「MEEK」』に睡眠剤リルマザホン塩酸塩水和物を大量に混入させて、甚大な健康被害(現時点での死亡例1を含む)を出しています。現在も、この薬剤は回収中です。
現時点で、睡眠薬の成分が混入した詳しい経緯は明らかになっていません。全く異なる容器に入っていた原料を間違えて投入したこと、1人の作業者がおこない監視者はいなかったこと、この作業は承認されていない工程でおこなわれたこと、工程内及び出荷前検査でこれが発見されなかったこと、などが分わかっていることです。
ちょっと、信じられないような事案です。このような単純なミスに起因する事故は、医薬品製造の現場では少なくとも十年単位で遡らないと、類似の事案はないのではないでしょうか。
食品製造などでは、稀に似たような事案がありますが、味が違うといったクレームになるくらいで、生命や健康には関わることはありません。主原料を取り違えるのではなく、副原料とか調味料を間違えるからです。
今回の事件では、睡眠導入剤の主原料の誤投入です。しかも、水虫薬1錠に、通常処方量の3倍の睡眠導入剤成分が入っているとのことです。この水虫薬は、1日1回4錠を処方されることがあるので、睡眠薬としては12倍を服用することになります。この結果、1名が死亡し、数多くの健康障害と事故が発生しています。
このブログで、何を書くべきかがわかりません。少し、情報を待ちましょう。
ハインリッヒの法則と言われる、ものづくりの現場ではよく知られた経験則があります。1件の重大事故の裏には、軽微な30件の事例、さらに300件のヒヤリハットがある、というものです。恐らくは、この会社では、過去から同種の事例があったはずです。
人は失敗する存在です。失敗させない方策、失敗しても流出しない方策、正確なSOPの運用などができていなかったのではないかと想像されます。
他者の失敗は、自社が失敗しないための重要なデータになります。医薬品製造と関連のない会社でも、この機会に点検をしてみてはどうでしょうか。