温暖化防止のために木を切る

2050年に日本はカーボンニュートラルを達成するという約束をしました。この約束を守る能力が日本には十分にあります。

 

よく考えると、地球全体では、そもそもカーボンニュートラルなんです。太古の植物が蓄積して地中に存在するカーボンが化石燃料(石油・石炭・天然ガス)です。これを人間がエネルギーとして取り出す過程で、大気中に放出します。カーボンのある位置が、地中から大気中に移動しただけで、カーボンの量が増えたわけではありません。

 

光合成のしくみ
光合成のしくみ

とても大雑把に言えば、大気中に移動したカーボンのうち、年間20億トンくらいを海が吸収し、10億トンくらいを植物が吸収します。

つまり、大気中に放出されるカーボンが30億トン以下であれば、カーボンの量は増えていかないというわけです。

 

ところが、実際の大気中への放出量が100億トン近くになっているので、差し引きの70億トン分が大気中に貯まります。これが、温室効果となって、地球を温暖化させているというわけです。

 

大気中のカーボン量を抑制するには、放出量を抑えることが第一です。省エネを進めたり、化石燃料以外のエネルギー(原子力や自然エネルギー)への転換をおこなうことです。

もう一つの方法として、植物による吸収量を増やすことがあります。大気中のカーボンを、地中に戻すというわけです。

 

光合成をする植物は、大気中のカーボンを吸収して成長します。日本は狭い国ですが、森林が国土の大半を占めます。また、植物は陸上だけでなく浅い海にも海藻や海草として生きています。日本列島とその沿岸の植物のカーボン吸収量は0.3億トンくらいです。

 

この話をすると、「木を切ることはいけないことだね?」と言う人がいます。もちろん、これは違います。

木を切った場所を、コンクリートで固めてはいけませんが、木を切ったところにまた木を植えるのであれば吸収量はプラスになります。もちろん、木の枝を剪定するといったことも、カーボンの吸収量を増やすことになります。

 

何故なら、植物がカーボンをたくさん吸収するのは、成長するときだからです。人でも、子供が成長して大人に近づくときにはたくさん食べます。年をとると、たいした量は要りません。

植物も同じで、新しく育つ若い木がカーボンをたくさん吸収して、身体を大きくします。

 

家庭や事業所の樹木の世話をすることも、実は地球温暖化の抑制に少し貢献しているということになります。