不安全と危険の違い

不安、不信、不覚、不意、不可解、不景気など、”不”がつく言葉はたくさんあります。

 

辞書で、不安は「何かが気がかりで、落ち着かない(安らぎが得られない)心の状態」とあります。とても広い概念なので、言い換えするよい言葉がありません。動揺・心配・憂慮・懸念・狼狽・・どれもしっくりしません。さて、本題ですが、辞書には載っていなくて、ものづくりの現場でよく使われる言葉に「不安全」があります。

 

不安全行動をしません
不安全行動をしません

不安全を単独で使われる場合もあれば、不安全状態、不安全行動などといった使い方もあります。

 

安全の反対語は危険です。危険、危険状態。危険行動と言えば、よさそうですが、ものづくりの現場では、敢えて不安全と言います。

不安全とは、「安全」な状態ではないという意味です。安全とは、全てが安らかである、完全なる安らぎが得られている状態のことです。

 

現場での挨拶では「ご安全に!」というのがあります。

あぶなかっしい作業している人に「大丈夫か?」と声掛けすると易々と「大丈夫」と答えるので、「安全か?」と訊ねると少し周りを見回すようになってよいと言われます。

 

安全と危険は確かに反対語ですが、その中間に不安全の状態があるというわけです。

こういうと、ものづくりの現場に完全なる安らぎが得られるような「安全」は無いじゃないかと言い出すへそ曲がりさんもいます。

確かに、大きな動力、高い熱・圧力、化学薬品や重い金属などを取り扱う現場では、そもそも不安全だということは言えます。

 

ものづくりの現場で使われる「不安全」は、実は安全ではない状態を言うのではなく、決められた管理標準(作業手順や作業要領)から逸脱していることを示します。

現場には、いろいろな危険が潜んでいます。作業をしている人には、その危険が見えないこともよくあります。そこで、この手順・要領に従って作業をすれば、危険からの距離を取ることができると示しているのです。

 

つまりは、管理標準をしっかりつくること、そしてそれを徹底することが大事です。会社は、この能力がある現場の管理者を育成していかなければなりませんが、近年は少し不安です。