不測の事態「磁気嵐」に備える

今朝の日経新聞に「磁気嵐のリスクに備えよ」という記事があったのでちょっと書きます。

 

記事の冒頭は「2012年7月23日に発生した非常に強い太陽表面の爆発が生んだフレア(プラズマ粒子の嵐)は地球軌道の一部を超えていった。この爆発が1週間早く発生していたとすれば、地球は1859年に世界規模で発生した強力な磁気嵐と同じ現象に見舞われていたとみられる。」とはじまります。

 

磁気嵐
磁気嵐

大規模な磁気嵐という現象は、数百年に一回程度起こります。前回の大規模な磁気嵐は記事にある1859年9月2日(日本時間)のことです。日本は安政6年です。

 

電信の起源は古くに遡りますが、実用的なモールスの電信が米国で使われるようになったのが1844年のことです。

日本には、1854年のペリー提督が2台の電信機を持ち込んだのが最初です。1859年という年は、世界の主要国で電信ブームが起こった年とされています。

 

この時発生した巨大な磁気嵐は、欧米諸国で、電信技士に電気ショックを与え、電線やコイルを発熱させて、火災を発生させました。日本では、電信は普及していなかったので、実際の被害はなかったのですが、各地で「赤気」と呼ばれるオーロラが観測されています。

 

日本で「赤気」が見られた最古の記録は、西暦620年、推古天皇の時代です。日本書紀に記載があります。次が、1204年で藤原定家の明月記に書かれています。そして、1854年です。

ほぼ600年毎に発生しているようです。

もちろん、太陽の自然現象ですから、きちんとした周期性があるわけではなく、偶然そうなったということです。

 

日経の記事を引用すると、「19世紀と違い今日では、電力やエレクトロニクスに依存する度合いが格段に高まっている。強力な磁気嵐は、多数の変圧器や発電機を破壊して電力供給網を使用不能にするだけでなく、コンピューターの内部配線や記憶装置、全地球測位システム(GPS)や通信衛星を使用不能に陥らせる。特にコンピューターは強力な磁気嵐に対して脆弱で、金属板などで十分に遮蔽されていない限り、大部分が使用不能になると予想される。」です。恐ろしいことが書いてあります。

 

但し、現代では磁気嵐の発生は予報が出ますので、過度に恐れることもありません。人の健康に障害があるわけでもありません。

しかし、磁気嵐の予報が万が一でも出れば、長期間に渡り、世界のあらゆる活動はロックダウンとなります。何しろ、人工衛星などが機能を失ったり、有線無線を問わず通信が不能になるわけですから、どんな経済活動をしても危険です。

 

想像力を働かせて、そういう事態にどう対処するかを考えておくことが大事です。