赤毛のアンとフランダースの犬

赤毛のアンは、カナダを舞台にしてカナダ人の作家(モンゴメリ)が1908年に書いた本です。フランダースの犬は、ベルギーを舞台にしてイギリス人の作家(ウィーダ)が1872年に書きました。

 

赤毛のアンとフランダースの犬は、母国であるカナダやイギリスなど欧米の国々で出版された部数よりも、日本で出版された部数が数倍多いことで有名です。どちらの物語も、時代と場所を越えて、戦後の日本人の心を揺さぶったのです。そして、今でも日本の少年少女(+かつて少年少女だった人たち)の心をとらえ続けています。

 

赤毛のアンの世界(柴田瑛代 創作人形)
赤毛のアンの世界(柴田瑛代 創作人形)

赤毛のアンが日本で、少年少女(特に少女)の人気を集めたのは、先ずは、村岡花子という翻訳家の存在です。

村岡花子の最初の赤毛のアンは、いわゆる抄訳でした。とても美しい日本語で書かれています。赤毛のアンの人気の大きな要因は、花子の翻訳の上手さによるものです。

 

村岡花子は、NHKの朝ドラ「花子とアン」で、吉高由里子が演じた花子です。

花子は、太平洋戦争の開戦が近づき、止む無く帰国するカナダ人女性から、赤毛のアンの原著をもらいます。花子が赤毛のアンに魅かれて、空襲の警報の下で翻訳をしたエピソードも、また人気を呼びました。

 

尚、フランダースの犬も日本で広く読まれているのは、村岡花子の翻訳です。

 

赤毛のアンもフランダースの犬も、私たちの世代ではアニメーションで知った人が多いと思います。いわゆる、メディアミックスです。そして、優れた日本のアニメーションは、世界に広がっていきます。赤毛のアンとフランダースの犬を、日本でつくられたアニメーションと知らずに楽しんでいる世界の子供たちがおります。

 

メディアミックスという意味では、赤毛のアンは図抜けています。劇団四季が1970年代からミュージカルとして上演を続けています。他にエステー主催のミュージカルのアン役は、華原朋美や上白石姉妹など毎年有力な若手が演じています。

1979年に放映されたテレビアニメーションの評価が高いのも当然で、スタジオジブリの高畑勲が監督をして、宮崎駿も参加しています。

 

人の幸せという意味だけでなく、ビジネスという視点でも、赤毛のアンとフランダースの犬は、いろいろなアイディアを提供してくれる素材です。