大型で非常に強い台風10号が、九州の西方海上を北上しました。風台風の特徴として、各地で大規模な停電が発生しました。
山口県では、最大のとき7万戸以上が停電しました。宇部市でも1万戸以上が停電しました。大半の停電は解消されていますが、一部の世帯では復旧が明日になりそうです。
ところで、台風情報で風速が報道されるときに、宇部はよくでてきます。今日の場合、宇部の最大風速は33.4mで、最も風の強かった午前3時の風速は24.5mでした。
しかし、実感とはかなり差があります。
確かに非常に強い風が吹いたのですが、風速25mというクラスではありませんでした。
風速25mは、樹木が根こそぎ倒れ、木造住家に大きな損害が出るレベルです。
風速15mを超えると風に向いては歩けなくなります。
台風のときに使われる風速はm/秒、秒速です。時速に直した方が実感がわきます。風速25mは、時速90㎞です。高速道路を走るクルマ想像してみると、普通の人なら、そのクルマの屋根に立ってはいられません。
報道される風速は、気象庁が設置している測候所・観測所・アメダスのデータです。
実は、宇部の観測地点は山口宇部空港にあります。宇部空港は海上空港で、瀬戸内海に突き出した埋め立て地にあります。このため、風速が高めに出ます。
グラフは、気象庁のアメダス(宇部空港)の風速と、宇部市のwebサイトにある宇部市役所の風速を並べたものです。この2地点は、約4㎞しか離れていませんが、風速には大きな差があります。宇部市役所の7日午前3時の風速は13.4m(宇部空港は24.5m)でした。
大半の市民にとっては、市役所のデータのほうが実感に近いです。
毎年、最高気温の常連だった群馬県館林市では、今年の夏は一度も最高気温が記録されなかったそうです。市内のアメダスが移転したのが理由です。もともと、アメダスが消防署のコンクリートに覆われた駐車場にあったことから、気温が高めに観測されていたのです。高校の土のグランド横に移設したことで、測定される気温が下がったというわけです。市民からは、知名度が下がるという嘆きも聞こえているとか。
気象データは複雑系で、取り扱うのが難しいものの典型です。
しっかり本質をつかまないと、うっかり騙されてしまいます。