コロナ禍よりウンカ禍がたいへんなことに

昨年を大幅に上回る、ウンカによる水稲への被害が目につきます。

 

もうすぐ稲刈りという田んぼが、1枚まるまるウンカの被害にあっています。本来は黄金色の稲穂が頭を垂れているはずの稲が、白くなってすべて倒れています。農家さんは、昨年も、西日本ではウンカの被害が多かったことで、今年も注意をしていたそうです。ところが、想定を大幅に超えるウンカの大発生となりました。

 

ウンカの被害が拡大
ウンカの被害が拡大

話を聞くと、山口県では、これほど広範囲にウンカによる被害があったのは、昭和60年頃以来で、35年ぶりじゃないかとのこと。

しかも、被害の深刻さは、そのときより比べものにならないくらい大きいそうです。

 

ウンカは、東南アジアから中国南部の熱帯・亜熱帯地方に生息しています。これらの地域での稲作が盛んになったことから、ウンカの個体数も増えていきました。

 

ウンカは風を使って長い距離を移動することができます。

これらの地域では、稲の収穫は6月下旬から7月初旬にかけておこなわれます。そのときに、大量のウンカが、梅雨前線に沿って発達するジェット気流に乗って日本へと移動するわけです。

何しろ、長い長い距離で時間もかかりますから、飛び立ったウンカのうちで、日本まで到達する個体の数は僅かなのが例年です。

 

それが今年は、梅雨明けが平年より10日も遅くなるなど、ウンカが日本にまで到達しやすい気象条件でした。これに、梅雨明け以降の高温少雨傾向が重なり、ウンカの異常な発生となったそうです。

 

農家の方も、予め予測して対策を取られていたそうです。対策としては、ウンカ用の農薬の散布ですが、ウンカは農薬に耐性ができるので、今年のウンカにどの農薬が効くのかがわかないのです。なかには、全く効かない(死虫率が10%未満)農薬もあるそうです。

また、効果が高い農薬でも、死虫率は80%ほどに止まるので、例年の100倍のウンカが襲来すれば、どんなに細かく防除しても、ウンカ被害は20倍になる理屈です。

 

ウンカ禍で、JAなどにも農薬が無くなっているそうです。仮に、入荷しても直ぐに農家さんが引き取ってしまいます。コロナ禍のマスクやイソジンの売り切れとは違うのですが、パニック買いになっているということです。

 

週末にかけて、二つの台風が襲来する予想もあり、農家の方の心配は大きくなっています。

何とか、せめて台風には、コースがずれてもらいたいと思っています。