「あなたは何人ですか?」「地球人です」

グローバルな(地球規模の)協働がなくなると、私たちの未来は暗いです。

 

新型コロナ感染症は、経済のグローバル化が進んだために世界中に感染が拡大していると、言う人がいます。感染症の拡大は、グローバル化が影響しているでしょうか?

恐らくは、あまり関係ありません。100年前のスペイン風邪と比較してみましょう。

 

グローバル
グローバル

スペイン風邪が流行した1918年当時、世界の人口は19億人くらいでした。

スペイン風邪には世界中で5億人が感染しました。4人に1人以上です。

死亡者数は正確にわかりませんが、1700万人から1億人の間と言われています。

 

尚、当時の日本の人口は約5,500万人で、スペイン風邪には2000~4000万人が罹患して、死者数は388,722人でした。国民の1/2超が感染して、致死率は1%を超えています。

 

スペイン風邪が流行した1918年は大正7年です。当時の日本も、世界に開かれた国ではありましたが、現代社会ほどのグローバルな活動量はありません。感染症の拡大は、そのウイルスなり細菌なりの、感染性によっておよそ決まるものだと思います。

 

今回の新型コロナウイルス感染症の現状ですが、現時点で1780万人が感染(検査陽性)して、68万人が死亡しています。スペイン風邪と比較して、世界人口が4倍になっていることを考えなくても、感染者数も死者数も大幅に少なくなっています。

 

新型コロナウイルスの感染性も病原性も、スペイン風邪のインフルエンザウイルスより弱いということが一つの原因ではあります。

しかし、当時と比較して、世界の経済が発展して、一般的な生活水準が向上し、人々の衛生状態や健康状態がよくなっていることも、新型コロナ感染症の健康被害が抑制されていることの大きな要因だろうと思います。

 

人命と経済のどちらをとるのか?と扇動的に語る人がおります。しかし、グローバルな経済発展こそが、世界の感染症リスクを和らげることにつながっています。

感染症に限らず(例えば地球環境問題や核軍備問題など)、我々に襲い掛かる多くのリスクや不安を解消するには、地球規模の協力・協働が欠かせません。それぞれの国や地域が、隔離し閉鎖していてはいけないのです。それは、結果として危険を増します。

 

「あなたは何人ですか?」と訊かれたら「地球人です」と応える。という歌詞の曲があったように思います。自分の国さえよければ、自分の都府県さえよければ、自分の会社さえ・・という意識が強まるのは危ないです。地球は、思うよりずっと小さいのですから。