BCP~火山噴火というハザード:白頭山のこと

BCP(事業継続計画)をつくるのに、ハザードマップなどを活用します。ハザードとして、洪水・高潮・津波・土砂災害などに、地震を加えて検討するのが普通です。実は、火山噴火というハザードのリスクはアセスメントすれば、かなり高いのですが、山口県の事業者では検討することは少ないです。

 

日本の火山と火山監視体制
日本の火山と火山監視体制

日本には111の活火山があって、気象庁などが常時監視をしています。このため、大きな噴火が起こるようなことがあれば、事前にある程度の情報が提供されます。

多くの場合では、噴火前に避難することが可能です。火口付近や火山山麓での、火砕流、噴石、溶岩流、火山ガスなどでの人的な被害は通常は回避されます。

 

2014年の御嶽山の噴火は死者58名を出した戦後最大の火山災害になりました。しかし、このときの御岳山の噴火は科学的にはとても小さい規模の噴火でした。9月の晴天の土曜日の正午というタイミングでなく、ほんの数時間でも噴火の時刻がずれていれば、新聞でもベタ記事扱いになっていたと思います。

 

活火山の近くに所在する事業者さんのBCPには、火山噴火というハザードが検討されていると思います。山口県のように火山が身近にない地域では、検討対象にはなり難いです。

しかし、火山噴火では噴煙と降灰というリスクがあります。このリスクは、もちろん火山に近いほうが大きいのですが、かなり広範囲に及ぶことがあります。

 

2010年にアイスランドのエイヤフィヤトラヨークトル火山が噴火したときは、ヨーロッパ全土トルコまでの空港が2週間近く閉鎖されました。(当時、私の会社の社員2人もスペイン出張中だったので、帰国できなくなった。)

1707年の富士山の宝永噴火では、大量の降灰が関東平野一帯に降り積もり、遠く房総半島にまで達しました。

 

日本では風が西から吹きますから、山口県の場合は九州の火山噴火の影響は考えておく必要があります。例えば、航空機での移動や物流が止まる可能性があります。クリーンルームなどは空気の濾過が不調となり使用できなくなります。農業への影響が予想されるので、農産品を使用する事業者さんは調達に影響があります。

 

白頭山の噴煙シミュレーション
946年の白頭山噴火:噴煙シミュレーション

日本における火山監視は、日本国内の活火山に限られます。

 

このところ、北朝鮮にある白頭山の火山活動が活発化しているという話があります。

白頭山の状況は、中国あるいは韓国経由で日本に入ってくるようですが、十分ではないようです。

白頭山の最後の大噴火は、今から1100年ほど前の946年でした。日本では、東北から北海道にかけての広い範囲に降灰があり、農業に大きな被害がでました。興福寺の記録によれば、奈良でも降灰がありました。

 

いろいろなリスクがあります。現在はコロナ禍にあり、九州などで豪雨による大きな被害が出たところです。こういうときに、異なる種類の自然災害が重なることはよくあります。

火山噴火は低頻度大規模災害の典型ですが、頭の隅には置いておかないといけません。