環境負荷低減。バスはお客さんが10人以上必要

地球温暖化防止のため、ノーマイカーデーを設定する町や企業がたくさんあります。

 

公共交通機関の利用促進を目的としているわけですが、なかなか進みません。まぁ、旗振り役になっている公共機関の職員さん自身が、自動車通勤を止められないでいます。ノーマイカーデーを初めて実施したのは、1971年(昭和46年)の東京都八王子市だそうです。既に50年近く前のことになります。

 

輸送量当たりの二酸化炭素排出量
輸送量当たりの二酸化炭素排出量
宇部市営バスのハートのつり革
宇部市営バスのハートのつり革

上の図で示されているのは、輸送量当たりの二酸化炭素排出量です。国交省が、輸送統計を基にして計算しています。

1人を1㎞輸送した場合の二酸化炭素排出量(単位はg)です。

 

このグラフでは、バスの地球環境負荷は、自家用車の約41%となります。鉄道では約13%です。みんなが公共交通機関を利用すると、環境負荷を減らすことになりそうです。

 

しかし、バスは自家用車より大きい(つまり重い)ので、1台当たりの二酸化炭素排出量は自家用車より多くなります。輸送量当たりの環境負荷が小さいというのは、1台でたくさんの人を運ぶからです。

 

バスに1人しか乗っていないなら、自家用車よりも環境負荷は大きくなります。それでは、バスには何人乗れば環境負荷という面で効果があるでしょうか?

試しに計算してみましょう。

 

先ず、自家用車の場合です。

ガソリン1Lの二酸化炭素排出量は2320gです。

昨年販売されたガソリン乗用車の平均燃費値は22.0km/Lでした。

これを基にすれば、二酸化炭素排出量は、2320÷22.0=105g/人・㎞です。

これは、乗車しているのが運転している1人だけの場合で、複数人で乗れば下がります。

 

次に、バスの場合です。

軽油で走るとして、軽油の二酸化炭素排出量は2620g/Lです。

バスの平均燃費は資料が無いのですが、中型路線バス(座席24・定員61)のISUZUの最新モデルで燃費6.0㎞/Lでした。

これを基にすれば、二酸化炭素排出量は乗車が満席の24人の場合、2620÷6÷24=18g/人・㎞になります。ただ、バスが満席で走ることは地方では少ないです。

 

自動車の105gをバスの18gで割ると、105÷18=6人乗ればバスのほうが環境に優しいように思います。しかし、自動車も1人だけで乗っているとも限らないので、助手席に誰か乗っているとすれば、バスの乗客が12人いないと釣り合いません。

 

まぁ、だいたい丸めると、環境負荷低減を達成するには、バスに乗っているお客さんが常に10人以上必要のようです。ノーマイカーデー以上に、強い政策でバス乗車率を上げていかなければなりませんね。