今でも人気の白熱電球!発明者はエジソンじゃない

大雑把に言うと、白熱電球をLED電球に交換すると電気代は1/6になります。

 

例えば、消費電力54Wの白熱電球を1年間に2000時間使えば、108kWhの電力を使います。電気代を27円/kWhとすると、2,916円です。同じ明るさをLED電球で出せば、9Wで十分ですから、18kWhの電力で済みます。年間2,430円のお得です。

しかも、白熱電球は2000時間ももちませんから、この間に1回は交換する手間がかかります。LED電球は20~30年は交換不要です。

 

エジソンの電球
エジソンの電球

省エネやコスト削減と言う意味では、白熱電球に勝ち目がなさそうです。ところが、ここで2つの課題が出てきます。

 

白熱電球が切れたら交換が必要ですが、1球の値段が80円くらいです。

LED電球の値段は、1球だと1000円近くします。4球セットで2500円とか3000円です。つまり、LED電球は10倍近く高いのです。

 

さらに、白熱電球を使う場所はトイレや洗面所、廊下などが多いですし、居室で使う場合も雰囲気照明がほとんどです。つまり、年間2000時間も点灯しているわけではありません。それなら、わざわざ高いお金を出してLED電球に交換するのは面倒だということになります。

 

というわけで、白熱電球を使う数は年々減ってはいるのですが、2019年でも日本で販売された白熱電球は5362万球で金額は43億3千万円となっています。ほぼ、1世帯に1球を使っているというイメージです。

尚、日本で生産された白熱電球は1660万球となっていますので、数で言えば70%が輸入品ということです。(経産省の統計の「その他の白熱電球」)

 

白熱電球と言えば、エジソンが発明したと思っている人も多いのですが、実際は違います。

1808年にイギリスのデービーが、電灯の前身であるアーク灯を発明しました。2本の炭素棒を電極にして電圧をかけて、その先端を一度接触させて放電(アーク)を生じさせるという原理です。1870年頃から街灯として使われました。

 

白熱電球は電極の間にフィラメントをつないで、これに電気を通して発光させるという原理です。この研究を1845年から継続しておこなっていたのが、イギリスのスワンです。スワンは苦節30有余年の年月を掛けて、点灯時間40時間の白熱電球を開発しました。

1878年12月に、スワンはこの白熱電球の構造を学会で発表します。そして、翌月の1879年1月に公開実験をおこないました。

 

この発表を聞いたエジソンは、さっそく白熱電球の開発に着手します。多少の紆余曲折はあったものの、点灯時間を大幅に延ばした電球の製造に成功します。

そして、その年の1879年の大晦日にアメリカ・ニュージャージー州に全米から何万人もお客を集めて何万灯の白熱電球を点灯させて、観衆の度肝を抜きます。エジソンは白熱電球の発明者ではなく、それを事業にした実業家というわけです。

尚、このときの電球のフィラメントに使われたのが、京都八幡男山の真竹でした。

 

日本で白熱電球が製造されるようになったのは、それから10年後の1890年(明治23年)のことです。フィラメントは、やっぱり竹でした。