洗濯するのは朝が多い。磁石の異方化

たまたまですが、洗濯は夜にする。という話を聞いてビックリしました。

 

何となくなんですが、洗濯は朝するものだと思っていました。学生時代や独身時代の寮生活では夜に洗濯機を回すことはありました。しかし、結婚してからは、単身赴任しているときでも洗濯は朝していました。話を聞いて驚いたのですが、生活時間に関する調査ではする洗濯する時間帯は3/4が朝型、1/4が夜型でした。自分が少数派でなくて、ちょっと安心です。

 

2020年 最新洗濯機
2020年 最新洗濯機

考えてみれば、昔の洗濯機は、騒々しかったです。ドラムを回転させるモーターの音もですが、排水音もずいぶんなものでした。

学生寮や独身寮なら、洗濯する場所は居室から遠く離れているので構わないですが、一般の家庭や集合住宅では夜に洗濯するのは難しかったと思います。

 

最新型の洗濯機は、とても静かになっています。これは、インバーター制御のDDモーターが使われるようになったからです。

DDはDirect Driveのことです。

世界で最初に、洗濯機にDDモーターを採用したのは、東芝で1997年のことでした。

 

それまでの洗濯機では、誘導モーターの回転数をギアやベルトを使って落として洗濯槽を回していたので、騒音や振動の発生を抑えることができませんでした。

DDモーターはインバーター制御でモーターそのものの回転数を落とします。モーターの軸と洗濯槽の軸が真っすぐつながるので、振動が少なくなり騒音も小さくなります。

また、振動や騒音が出るということは、つまりはエネルギーのロスが発生しているという意味ですから、DDモーターを採用すると省エネになります。

 

良いことばかりですが、これにはDDモーターのローターに使われている磁石の性能が向上したことも大きな要因です。誘導電動機では磁石は使われません。

DDモーターの初期は、フェライト磁石が使われていました。その後、よりコンパクトで力強いモーターにするため、磁力の強い希土類磁石へと変わっていきます。ネオジム磁石やサマリウム・コバルト磁石などです。フェライト磁石の数倍から十倍の磁力があります。

 

希土類金属資源は、中国から輸入することが多く資源問題が発生しました。そこで、再びフェライト磁石に戻っていくのですが、磁力が下がってしまうといけません。ここで、集束異方化という不思議な技術が登場します。本来は弱いフェライト磁石の力をある方向に集中させて、希土類磁石を超える磁力を発生させるというわけです。

 

集束異方化は、ボンド磁石では従来からあった技術ですが、焼結磁石でも採用されるようになったことで、家電の省エネ化が進みました。モーターも磁石も昔からあるものですが、実は日々進歩しているのです。