コロナ予防には、賢く換気しよう

コロナ怖いからといって、冷房設定温度を下げたまま、窓は開け放つというのは乱暴です。

 

これでは、真夏の外気を冷やすことに膨大なエネルギーを掛けるということになります。コロナ予防も大事なんでしょうが、地球環境にも賢い換気をしていきましょう。目的は、商業施設、オフィス、教室の空気中のウイルス濃度を高くしないために「換気の悪い密閉空間」をつくらないということです。

 

教室の換気
教室の換気

感染症の集団感染を予防するには”三密”を避けることが大事です。「三密」は密集、密閉、密接のことです。

集団感染が起こるのは、「換気が悪く」、「人が密に集まって過ごすような空間」、「不特定多数の人が接触するおそれが高い場所」ということです。

 

厚生労働省は3月30日に適切な換気量について資料を公開しています。

☞ 商業施設等における「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気について

国内外のいろいろな知見がまとめられているのですが、結論は「1人当たり1時間に30㎥以上の換気量を確保する」ことで、「換気の悪い」状態ではなくなるということです。

感染症病棟などでは、この3倍とか6倍とかの換気量を推奨しています。

 

仮に学校の教室で考えてみましょう。

現在では多くの学校で教室にエアコンが導入されています。一般のエアコンは室内の空気を冷やして室内に流すので空気は入れ替わりません。一方で、教室に換気扇など換気設備が取り付けられているのは1/3くらいです。2/3の教室では換気は窓とドアを開放しておこないます。

 

例えば、平均的に縦8m×横7m×高3mで、容積が170㎥の教室を想定します。ここに、先生と生徒合わせて30人いるとすれば、1人30㎥ですから1時間に900㎥以上の換気量が必要になるというわけです。

 

教室に換気扇がある場合は、換気扇を使って換気量を確保しましょう。三菱電機のwebサイトにリンクへの貼っています。写真にあるのは直径25㎝の換気扇です。

換気扇の換気量は大きさによって、15㎝で250㎥/時、20㎝で500㎥/時、25㎝で750㎥/時、30㎝で1000㎥/時くらいです。強弱切替がある場合の"強”のとき。

 

学校の教室の場合、気密性が極端に高いわけではない(何もしなくても空気の入れ替えはあります)ので、25㎝クラスの換気扇があるなら、これをずっと動かしておけば換気量は十分確保できます。本体の定価は3万円ほどですが、実売は1万5千円くらいです。工事費を含めても1教室当たり3万円もあれば設置できますから、これはお奨めです。

学校用・標準換気扇(三菱電機のwebサイト)
学校用・標準換気扇(三菱電機のwebサイトにリンク)

 

換気扇がついていない教室の場合は、窓を開けて換気します。

教室の窓の大きさは、建築基準法で床面積の1/5以上と決められていますから、上の教室の場合は最低でも12㎡くらいの窓があります。窓の開放は引き違いなので、半分で6㎡とします。仮に無風状態でも廊下側の窓やドアを開ければ、秒速2~3mでは空気は流れ込みます。

余裕をみて、人が空気の流れをほとんど感じないくらいの風速1m/秒としても、流入する空気の量は6㎥/秒となります。

 

1時間に900㎥の換気量を確保するには、900÷6=150秒。2分半あれば足ることになります。学校の授業というのは1コマ40~45分、休憩時間が5分くらいと思います。

換気量を確保する現実的な方法は、授業の合間の休憩時間に、例えば3分間窓を開けて換気することです。そのときに、廊下側の窓や扉も開けて空気の流れをつくることは大事です。

 

窓を開けるときに、エアコンが設置されてある教室では設定温度を少し上げてください。真夏で外気温が35℃とかのときに、エアコンが28℃設定にしてあったなら、30℃か32℃に上げるということです。

大量の外気が流入すれば、エアコンが頑張ってもエネルギーを無駄に使うばかりです。地球温暖化を進めることにもなります。ちょっと、控えましょう。

 

但し、エアコンのスイッチは切らないで設定温度を上げてください。エアコンは、起動時に最もエネルギーを使うので、3分程度でしたら、動かしていた方が省エネになります。