新型コロナ、欧米で水道から感染したのか?

最初に断っておきますが、あまり科学的な根拠がある話ではないので、ご注意ください。

 

『東京都、下水調査でコロナウイルス分析研究』というニュースがありました。東京都が、新型コロナウイルスの感染実態を把握するための下水の調査研究を始めたそうです。下水に含まれるウイルスから流域の感染者数を推測するのが目的です。但し、現時点では水の中のウイルスを抽出濃縮して精度よく分析する方法がありませんから、その分析法の確立が先です。

 

パリ・コンコルド広場の噴水
パリ・コンコルド広場の噴水

このニュースのなかで、パリの雑用水道からコロナウイルスが検出されたという報道がありました。雑用水道というのは、飲用ではなく、街路樹への散水や噴水とかで使用する水だそうです。

 

この二つのニュースから、水道水からウイルスが感染するということはないのか?と尋ねられました。

日本でも、簡易水道を経由してノロウイルス感染が広がったような事例はときどきあります。水道水からウイルス感染が広がるということがないとは言えないかなぁ、と答えました。

 

新型コロナウイルスが糞便中に含まれていて、活性が保たれているとします。水道水の原水にコロナウイルスが存在する可能性はあります。

 

山口県のような地方では、水道原水を取水している場所より上流には人が住んでいないので、原水にウイルスが混入する可能性はあまりありません。東京では利根川・荒川・多摩川などから取水する原水にウイルスが混入する可能性はゼロではありません。琵琶湖の水を飲んでいる大阪でも同じです。もちろん、アメリカやヨーロッパのような大陸国の沿岸都市では、水道原水を取水する場所より上流にはさらに多くの人が住んでいます。

 

水道水は浄化したうえで、殺菌してから供給されていますから、一般には安全なはずです。

日本の水道水は、ご存じのように高度な浄化処理をおこなったうえで、塩素殺菌してから提供されています。水道法では給水栓で遊離残留塩素を0.1mg/L以上保持することが必要です。

 

家庭の蛇口で0.1mg/L以上ですから、浄水場の出口ではもっと塩素濃度は高くして1.0mg/Lくらいで送水します。結果として、東京都の場合では家庭の蛇口での塩素濃度の平均は0.6mg/Lくらいです。この濃度では、ウイルスは活性を維持できません。

尚、日本の法律では残留塩素濃度の下限だけが決まっていて、上限がありません。

 

一般的に日本の水道水の残留塩素濃度は欧米と比べて、とても高いようです。

塩素は殺菌力があることの裏返しで、人間の健康にも多少のリスクがあると言われています。もちろん、日本の水道水に含まれる1.0mg/L程度では人体への影響は確認されていません。

欧米では、塩素の有害性を気にして、塩素濃度をかなり下げています。また、塩素殺菌に代えてオゾンやフッ素による殺菌をおこなっている国もあります。

尚、欧米の多くの法律では残留塩素濃度の上限だけが決まっています。しかも、0.1mg/L以下となっている国も多いです。ウイルスが活性を維持している可能性がある濃度です。

 

新型コロナウイルスが塩素で不活化するか、閾値がどのくらいかなどの、正確な知識はありません。文献検索したら、有機物が共存しない条件では塩素濃度0.4mg/Lではウイルスは活性を維持できないと出ていました。もしかしたら、欧米では水道水を経由してコロナウイルス感染が広がったなんてことはないですかね?

 

日本あるいは中国を含めた途上国(一般に途上国は強く塩素殺菌します。中国では水道の管路が長いという事情もあって、浄水場での塩素濃度はかなり高いと言われます)での、新型コロナウイルスの人から人への感染力の弱さを考えると、先進国での欧米での感染の広がり方はレベルが違うように見えます。

BCG仮説に続いて、水道水仮説(塩素殺菌仮説)も考えられるかも知れません。

 

すみません。あまり気にしないでください。