コロナに学ぶ!製品ライフサイクルとイノベーター理論

コロナ・コロナと呪文のようになっているので、関連して経営戦略を学びましょう。

 

新型コロナウイルスの感染が広がる様子は、ビジネスでは製品ライフサイクル曲線の考え方と同じです。また、新製品の普及期ではイノベーター理論に基づいた普及曲線という考え方があります。これは現在の新型コロナ感染症の状況と同じです。商品開発からの販売促進と感染症の拡大も実は道筋は同じようなものなんです。

 

製品ライフサイクル曲線
製品ライフサイクル曲線

製品ライフサイクル曲線は右の図のようなものです。ビジネスの基本の”キ”です。

 

どんな製品であっても、この製品ライフサイクル曲線に当てはまります。

 

経営戦略は、その製品がライフサイクルのどの位置にあるかで異なります。逆に言えば、その位置を見極めて戦略を適切に選択することが大事です。

 

導入期の4Pとして、Products(製品)をより高品質に、Promotion(販売促進)をプッシュ型の広告宣伝、Place(流通)を代理店に高マージン、Price(価格)は高め、などと教科書にはあります。

導入期に取るべき戦略で重要なのは、市場の拡大を阻害するボトルネックを見つけて排除することです。新製品の良さを消費者が知らないことがボトルネックであれば、プッシュ型の広告宣伝は効果があります。しかし、4Pの外にボトルネックがある場合も多くて、本当のボトルネックは見落としがちです。

 

感染症の場合の製品ライフサイクル曲線はそのまま使えます。売上高が患者の数、単価が患者一人当たりのリスクの大きさ、利益が社会全体の損失、と置き換えればよいわけです。製品の場合はライフサイクルを通した利益の総和を大きくすることが目的ですが、感染症の場合は逆に損失の総和を小さくすることが目的です。

 

普及曲線
普及曲線

もうひとつ、製品の普及曲線というのはあります。釣鐘型の度数分布曲線とS字を描く累積度数分布曲線で表されます。

新商品の購入者を分けて普及曲線を理解したのが、ロジャースという人でイノベーター理論と言います。

 

購入する時期が早い方から、イノベーター2.5%、アーリー・アダプター13.5%、アーリー・マジョリティ34%、レイト・マジョリティ34%、ラガード16%の5つのタイプに分類しました。

新製品が出ると買ってみようとする革新的な人がいるもので、それをイノベーターとして全体の2.5%と仮定したわけです。その商品が市場でシェアを拡大するには、イノベーターに追随するアーリー・アダプター(これをオピニオンリーダーともいうのですが)がポイントになります。全体の13.5%と仮定するこの初期の採用者が獲得できるかどうかが重要なのです。

 

イノベーターの2.5%とアーリー・アダプターの13.5%を足した16%の壁を越えた製品は、急速に普及していくと言われています。

イノベーター理論で重要なのは、目新しいものに飛びつくイノベーターは企業の利益にはつながらない。利益を獲得するために重要なのはアーリー・アダプターへの働き掛けだということです。「16%の壁」を目指して、会社の叡智を結集させます。

 

日本では、新型コロナウイルス感染症に緊急事態宣言を出して、イノベーターを封じ込めようとしています。もちろん、感染症と商品開発を同じにはできませんが、何となく考え方は同じのような気がします。アーリー・アダプターに適切な治療を施すことで、16%の壁を越えないように管理して、損失を最小化するという戦略もあったように思います。