日本と欧米では雇用のGDP弾性率が異なる

アメリカでは5週間で2600万人が失業保険を申請したということです。

 

アメリカの全就業者数が1億5800万人なので、6人に1人が失業した計算になるというニュースです。日本でも同じくらい失業者があふれるかというと、実はそんなことにはなりません。日本型雇用システムでは就業や雇用のGDP弾性率がアメリカ型と比べて小さいのです。

 

富士山(日本)
富士山(日本)

日本型雇用システムは生産性が低いとか、海外に比較して劣っているとか、批判されることは多いです。最近は日本企業はリスクをとって投資をしないで、巨額な内部留保を貯め込んでいると叱られていました。

雇用問題に限らず、何にしても日本は後進国であり、外国を学ばなければいけないと主張する人がなんと多いことでしょうか。

 

日本には非常に厳しい雇用者保護規制があります。さらに充実した公的社会保障制度もあります。そのうえに民間事業者の高い倫理観と責任感が日本型雇用システムを支えています。日本は労働や雇用という分野でも世界で特別な国です。日本は世界で最も自然災害が多く、危機に遭遇しやすい国ですから、危機対応に優れた日本なりの経営の仕方、雇用システムになっています。

 

さて、雇用のGDP弾性率という考え方があります。GDPの変位に対して雇用や失業がどう変わるかを数字にしたものです。日本はこの雇用のGDP弾性率がとても小さい国です。一方で、先進国でGDP弾性率が高いのはアメリカと多くの欧州の国です。欧州でもアメリカ型でない国もあります。主にドイツ・オーストリア・ベルギーなどドイツ文化圏の国です。

 

ごく簡単に言えば、アメリカ型の国ではGDPが10%下がれば就業者も概ね10%(ときには10%以上)減ります。GDP10%減で就業者10%減なら、就業者のGDP弾性率が1.0といいます。但し、GDPが10%上がれば就業者もすぐに10%増えるということも意味しますから、好景気になれば一気に好循環がきます。これがアメリカ型です。

 

一方で、日本の場合は就業者のGDP弾性率が0.3くらいです。GDPが10%下がっても就業者は3%しか減りません。実際にリーマンショックのときには日本のGDPは9%下がりましたが、就業者は2.5%しか減りませんでした。

但し、日本型ではGDPが伸びても就業者がその割合では増えません。リーマンショックから景気拡大に移っても就業者数がなかなか増加に転じないまま東日本の震災(2011年3月)を迎えました。つまり、日本型システムは不況や恐慌のときは頼りになるのですが、景気が拡大しているときには世界に遅れるのですが、

 

今回のコロナ禍がいつ終息するかはわかりません。日本では本来何も怖い病気でもないのですが、感染症の専門家や政治家もマスコミも、もう引っ込みがつきません。したがって、これからどうなるかは不明です。

4~6月のGDPは25%くらい下がる見込みです。仮に1年間このような状況が続いてGDPが1年で10%下がるとします。昨年末の日本の就業者が6765万人ですから、10%に弾性率0.3を掛けて最大で約200万人の就業者が減る計算です。同じく雇用者が6038万人ですから同じく最大で約180万人が職を失います。

 

これはこれでもの凄い人数ですが、アメリカ型であれば600万人が失業するので、この差は大きいです。仮に失業者に1人1年間200万円を手当てするとして、3.6兆円と12兆円の違いがあります。このタイミングで政府が無駄なバラマキをしないよう抑制しておけば、失業対策は十分に可能な範囲です。

 

※ さて、以下に事実だけを置いておきます。

日本で2018年の1年間に亡くなった人は1,362,470人です。365日で割れば1日当たり3,733人です。このうち狭義の肺炎で亡くなった人は94,661人で1日259人です。誤嚥性肺炎などを含む広義の肺炎(呼吸器系疾患)の死者は1日524人です。

新型コロナウイルス感染症による死者は現在までの累計(75日間)で340人です。