人工呼吸器の大増産、人を無視していないか

人工呼吸器についてもマスコミや出演する専門家?などに煽られているようで危ないです。

 

PCR検査装置の増産フィーバーはどこにいったのでしょうか?検査装置がいくらあっても、精度のある検査するには熟練した技術者(臨床検査技師)が必要とようやくわかってきたところです。人工呼吸器の場合も同じで、重症肺炎の治療に使うつもりなら、やはり熟練の技術者(臨床工学士)がいなければなりません。

 

人工呼吸器
人工呼吸器

みんな、機械があれば勝手に動くと思っているような気がします。

PCR検査のときには、2時間の検査時間が30分になる素晴らしい機械が開発されて・・云々。

しかし、検体を処理して機械にかけるまでの微妙な作業をする時間のほうがずっと長くて、やはり1日に20~30検体を扱うのが限界のようです。

 

PCR検査器と同じように、人工呼吸器をいくらたくさんつくっても、これを適正に操作できる熟練した技術者がそこにいなければなりません。現在、日本には2万4千人の臨床工学士がいますが、機械は増やせても、技術者は急に増やすことはできません。しかも、この人たちはぶらぶら遊んでいるわけではありません。他の患者さんの命を救う仕事を今も懸命にしているのです。

 

以前のブログにも書いたのですが、日本では年間約5000台の人工呼吸器がつくられています。生産統計はあっても廃棄の統計はないので、国内にある人工呼吸器の数はわかりませんが、2~3万台は稼働可能なはずです。廃棄するのを止めれば十分な数の人工呼吸器は確保できます。しかし、機械が稼働するには、きちんと操作できる人がいるのが前提です。

 

以前視たテレビ番組で、人工呼吸器を装着した高齢の患者が意識のないまま透析治療を続けているのを放送していました。終末期医療をテーマにしたドキュメンタリーです。医師が人工呼吸器を外すことはできません。患者は確かに生きているのです。

重篤な肺炎だから人工呼吸器につなぐことが必要と言いますが、本当に何万台もが必要なのだろうか。また、高齢の肺炎患者に人工呼吸器を取り付けるのが必ずしも正しいことなのだろうか、と考え込んでしまいます。