リスクファイナンスには「リスク保有」と「リスク移転」がある

リスクファイナンスといっても損害保険のことだけじゃありません。

 

リスクファイナンスは、事業継続計画(BCP)の重要なアイテムの1つです。不測の事態が発生したときのために資金面から考える対策のことです。今回の新型コロナウィルスも含めてですが、全く予測できない緊急事態が突然発生した場合でも、事業が継続できなくなるほどの資金の欠乏をできる限り抑制するのがリスクファイナンスです。

 

仮に、会社でリスクアセスメントをおこなった結果、下のようになったとします。

 

リスクアセスメント
リスクアセスメント

「発生の確率が高い×被害の大きさが大きい」と評価されたのが、風水害、火災・爆発、情報漏洩だとすれば、これは放置できません。風水害であれば建物の補強とか、火災・爆発であれば危険物タンクの改修とか、情報漏洩であればセキュリティーソフトの導入とか、何らかの対策を導入します。

この対策によって、発生の確率を下げるか、発生した場合の被害の大きさを小さくします。

 

発生の確率がどうしても下げられないような不測の事態への対応が「リスクの保有」です。

例えば、利害関係者の経営破綻(販売先の破産のようなこと)は十分に注意していても起こり得ます。従業員が急に病気になることや、大事な機械が突然壊れることもあります。

このリスクは保有しなければならないので、これを考慮した手元資金を確保しておくことが大事です。

 

発生の確率が低いが、万一発生したときには被害の大きさが耐えられないほど大きい不測の事態への対応が「リスクの移転」です。

例えば、大震災や大津波、大型台風や広域水害、新型感染症によるパンデミック、リーマンショック級の経済恐慌に耐えられるだけの手元資金を確保するのは難しいです。

このリスクは、損害保険などを活用して移転をするということになります。つまり、本来は自社が保有しなければならないリスクを保険会社に移転するということです。

 

事業者としては、どの範囲までのリスクならば保有をして、どのリスクを移転するかは難しい経営判断です。