カットからキットへ、野菜のおはなし

肌寒くなってきて、お鍋の季節です。そして、冬はキット野菜の季節でもあります。

 

いろいろな要因があります。単身世帯の増加、女性就労率の上昇、食生活の多様化、嗜好の細分化、野菜工場生産量の増加などなど。野菜をまるまる買うのではなく、カット野菜を購入する人が増えており、市場が活況です。カット野菜には、「カット」や「キット」があります。

 

野菜鍋
野菜鍋

カット野菜には、大きく4つのカテゴリーがあります。

1は「カット」。文字通り、野菜をカットしただけのものです。※

2は「サラダ」。サラダにしやすいように、カット野菜を組み合わせたものです。

3は「サラダ総菜」。サラダに調理を加えたものです。ポテトサラダとかコールスローサラダのようなものです。

そして、4が「キット」です。鍋セットなど料理に合わせて野菜を組み合わせてパックしたものです。

※キャベツ1/2個とか白菜1/4個はカット野菜には分類されません。

 

農畜産業振興機構の小売販売動向調査をみてみます。この調査はスーパーの来店者1000人当りでいくらの金額の購入があったのかをまとめたものです。下の表を参照。

 

カット野菜全体の購入金額は、平成21年に2,182円だったものが、平成30年に7,236円と3.3倍になっています。類別にみると、「カット」は2.6倍ですが「サラダ」は4.0倍、「キット」は3.5倍、「サラダ総菜」は3.0倍です。加工の度合いがより高い商品が売れ行きを伸ばしていることがわかります。

 

ところが、平成25年から30年の後半5年でみると「サラダ総菜」がコンビニへの移行や袋入りサラダ総菜が開発されたことで売り上げを落としています。

「カット」は堅調に伸ばしていますが、伸びの大きいのが「キット」です。

 

これからの冬場に、鍋料理を楽しみたいと思うのは当然です。しかし、単身者や夫婦二人世代では野菜を揃えるのはしんどいです。新しいレシピを考えるのも面倒ですから、「キット」の需要は一層高まると思います。購買意欲を刺激するような、ユニークなキットをつくれるとしっかり売れそうな気配です。

 

鍋料理が美味しくなるようなカットの仕方を考えたり、鍋に入れる順序を考えてパックをしたり、いろいろアイディアがありそうです。

野菜に関わる皆さん、地域の野菜を活用した「ご当地鍋キット」の企画をしてみませんか?

 

平成21年 平成25年 平成30年 倍率1 倍率2
 カット 500 1,062 1,312 2.6 1.24
 サラダ 795 1,928 3,185 4.0 1.65
 サラダ総菜 666 2,083 2,044 3.0 0.98
 キット 201 378 696 3.5 1.84
カット野菜合計 2,182 5,451 7,236 3.3 1.33