自分より30歳若い後継者を見つける

TDBが毎年調査していますが、2018年調査では日本企業の後継者不在率は66.4%です。

 

つまり、企業の2/3は後継者がいないわけです。経済産業省の予測によると、後継者がおらずに廃業する企業が増えれば、2025年には660万人の雇用とGDPで22兆円分が失われるという見込です。地方に行けば行くほど、中小企業への経済依存率が高まるので、雇用や経済損失の影響を大きく受けますから、対策は急がれます。

 

社長の椅子
社長の椅子

事業承継を進めるために、国や地域の支援機関が多くの施策を打ち出してはいますが、なかなか実効があがりません。

 

後継者不足の原因にはいろいろなものがありますが、肌感覚では今の経営者に辞める気がないのが一番だと思います。

後継者がいないのではなく、後継者を決めない、後継者を育てない、自分がいつまでも社長でいたいという経営者が多いわけです。

 

親族内承継でも、第三者承継でも、事業承継には予想外に時間がかかります。最低でも5年、できれば10年の時間があればと思います。建設業など経営者資格(最低5年間)に年数の縛りがある業界もあります。

 

できるなら、経営者が55歳になるまでには、後継者を決めておきたいものです。

日本人男性の健康寿命は約72歳です。個人差は大きいのですが、55歳の社長が元気に会社の仕事をできるのは残り17年です。会社を退いて悠々自適の生活を楽しむ期間を何年に設定するかですが、仮に10年とすれば7年の間に後継者を決めて引き継ぎを終えるのが目標です。

 

社長が「元気なうちは頑張る」と勇ましいことを言われますが、これは裏を返せば、「リタイア以降はずっと通院や介護が必要な生活になる」というわけです。そんな人生でよいですか?

 

もし、会社がそこそこの業績を上げているのなら、早めに後継者を決めてリタイアしてはどうでしょうか。また、逆に業績が悪い、あるいは悪くなってきている会社なら、経営悪化の経営責任をとって早期に辞めたほうが会社は立ち直る可能性が高いわけです。「俺がいなくちゃ会社はダメになる」なんて、理屈に合わないことは考えないほうがいいでしょう。

 

中小企業の場合は、親族(特に親子)承継が主流ですから、経営者が会社の先頭に立っている経営は1世代分の20~30年になることが多いです。これだけの時間があるのですから、できるだけ若い後継者を見つけて任せてしまうことを考えたいですね。