顧客の声を聞けと言うけれど・・

偉いコンサルタントの先生は「顧客の声は神の声」だからよく聞くようにと言われます。

 

事業者さんが顧客の声を真摯に聴いて、改善の機会を得るというのは確かによいことです。顧客の声にはクレームや不満もありますが、称賛や満足の表明もあります。こういう声を聴いて、変えることはすばやく変え、続けるところは粘り強く変えていきます。シックスグマでは、VOC(Voice Of Customer)と言います。

 

顧客の声を聞く
顧客の声を聞く

しかしばがら、実際には、事業者が市場の動きや顧客の要望を迅速に把握することはかなり困難です。

 

例えば、アンケート調査の結果や苦情カードのなかに顧客の意思が正確に反映されないことはみんな実感しています。

大手マスコミが多額の資金を掛けて実施する世論調査ですら実態と乖離しています。

 

そもそも、一般に顧客の多くは「サイレントクレーマー」です。我が社に対して何か不満があったとしても、それを我が社に伝えることはありません。だって、そんなことをしても面白くないですもの。赤の他人に不満を漏らす方が面白いわけです。

そもそも不満なのですから、そんな顧客はアンケート用紙に、時間を使って、まじめに書き込むなんて面倒なことをする気にはなりません。

 

最近でしたら、SNSの投稿などは比較的本音を聞くことのできるツールではありますが、全くの本音を誰にも構わずに書き込んだりはしていません。

どうしても、顧客の本音に迫ろうとすれば、読み手が何らかの質問をして、書き手が応えるという行動(働きかけ)が必要です。

 

そうなると、「顧客の声を聞け!」ではなくて、「顧客の姿や行動をよく見ろ!」ということのほうが効果的です。不満を持っている人は、その動作や行動で分かると思います。何となくイラついていたり、行動が緩慢になったり(速くなったり)します。

姿かたちから、その人が考えていること、感じていることを察知するわけです。

 

良い経営者、優れた販売員は、顧客の立ち居振る舞いから声にならない「顧客の声」を聴き分けているということなんですね。