「ピーターの法則」は「人は昇進するといつか無能レベルに達する」というものです。
あるポジションでよい仕事をして成果を出したら、昇進します。当然です。次のポジションでも成果が上がったなら、また昇進します。こうして昇進していくと、いずれそのポジションでは成果を出せないところに到達します。こうして、組織では無能な人が溜まっていきます。大きな組織の場合、上層部は無能な人であふれかえります。
「ピーターの法則」は、サラリーマンにはよく知られた法則です。若い頃はお偉いさんをみながら、仕事も出来ない奴らばかりが高い給料をとっている。「ピーターの法則」は正しいなぁと思います。
そんな様子を察知したお偉いさんから「長年働いた俺の給料が高くなけりゃ、お前もこれから永く働く気にならんだろう。まぁ頑張れ!」なんて、妙な励ましを受けます。
そうはいっても、無能レベルに達した人の割合が高くなると組織全体で成果が出なくなります。仕事をして成果を上げる人がいなくなるから当然です。
そこで、日本の企業では、高度成長期以降にこの現象が顕著になったので対策をとりました。ピーターの法則から逃れる最も有効な対策は組織の階層を減らすことです。
平社員から主任・係長・課長・部長・役員くらいでも6階層あります。たぶん、これでもピーターの法則から逃れ切ることは難しいです。
ところが、組織によっては係⇒課⇒部の3つに、班とか室とか本部とか・・いろいろ加わります。副○○、○○代理、○○心得、なんて役職がついたりもします。
日本では伝統的に役職の名前がインセンティブになっていたのです。仕事が出来なくても、極端な場合給料が安くても、部長の方が課長より居心地がいいのです。会社の方もよくわかかっていて、それらしい役職をつけておきます。
しかし、ピーターの法則もそろそろ賞味期限切れとなってきました。役所などの組織は別として収益を目標とする企業では、役職に重きを置くことをやめてきています。
あるポジションで成果を上げる仕事をする人は、そのポジションのままで徹底的に仕事をしてもらいます。成果に応じて給料はバンバン上げるのですが、昇進はさせません。例えば、スーパーエンジニアにマネージメントで時間を使わせる理由はないわけです。
そんなスーパースターも時が流れて、いつか成果が出なくなります。そんなときに昇格させるのです。新たなポジションで有能かどうかを試します。
もし、そのポジションで成果を出せない場合、つまりピーターの法則の無能レベルに達していた場合は、長い時間を置かずに2段階降格(縦か斜めか)させます。元々スーパースターだったポジションより下の位置です。ここで成果を出して、次世代のスーパースターを支えていくのです。例えば、一人で二人のスーパースターを支えることができるなら、成果の大きさはスーパースター1人より大きいかも知れません。
インセンティブは役職ではなく、成果の大きさに応じた給料や処遇で与える。こういう会社が増えてきているように思います。