職業病のリストが長くなっている

労働災害と認定されるには、業務遂行性と業務起因性の二つの要件が必要です。

 

業務遂行性というのは、労働者が労働契約に基づいて事業主の支配下にある状態で起きた災害であること。業務起因性というのは、災害と業務に一定の因果関係にあることです。さらに、労働災害には事故性の傷病(死亡)と業務上の疾病(死亡)があります。後者のことを「職業病」ともいいますが、例示される内容が年々増えています。

 

職業病
職業病

労災補償の対象となる「職業病のリスト」は、労働基準法施行規則 別表第一の二 に示されています。

 

このリストは結構頻繁に追加されています。

最新の追加は以前、このブログで書いたo-トルイジンによる膀胱癌(ぼうこうがん)です。今年の4月10日に追加されています。

この追加で、「がん原性物質若しくはがん原性因子又はがん原性工程における業務による次に掲げる疾病」は21種類に増えました。

 

意外に広い範囲が記載されていることに気づいてください。

”十一 その他業務に起因することの明らかな疾病”に明らかに含まれるものを明示しようということです。厚生労働省のこの姿勢は、大いに評価できると思っています。

 

別表第一の二 の一部を掲載してみます。

一 業務上の負傷に起因する疾病

二 物理的因子による次に掲げる疾病

1 紫外線にさらされる業務による前眼部疾患又は皮膚疾患

2 赤外線にさらされる業務による網膜火傷、白内障等の眼疾患又は皮膚疾患

3 レーザー光線にさらされる業務による網膜火傷等の眼疾患又は皮膚疾患

4~12(略)

13 1から12までに掲げるもののほか、(中略)業務に起因することの明らかな疾病

三 身体に過度の負担のかかる作業態様に起因する次に掲げる疾病

1 重激な業務による筋肉、腱けん、骨若しくは関節の疾患又は内臓脱

2 重量物を取り扱う業務、(中略)腰部に過度の負担のかかる業務による腰痛

3 さく岩機、(中略)振動を与える業務による、(中略)末梢しよう神経障害(以下略)4 電子計算機への入力を反復して行う業務(中略)運動器障害

5 1から4までに掲げるもののほか、(中略)業務に起因することの明らかな疾病

四 化学物質等による次に掲げる疾病

1 厚生労働大臣の指定する単体たる化学物質及び化合物、(以下略)

2  弗ふつ素樹脂、(中略)による眼粘膜の炎症又は気道粘膜の炎症等の呼吸器疾患

3 すす、(中略)による皮膚疾患

4~8(略)

9 1から8までに掲げるもののほか、業務に起因することの明らかな疾病

五 粉じんを飛散する場所における業務によるじん肺症又はじん肺法(以下略)

六 細菌、ウイルス等の病原体による次に掲げる疾病

1 患者の診療若しくは看護の業務、(中略)病原体を取り扱う業務による伝染性疾患

2 動物(中略)を取り扱う業務によるブルセラ症、炭疽そ病等の伝染性疾患

3 湿潤地における業務によるワイル病等のレプトスピラ症

4 屋外における業務による恙つつが虫病

5 1から4までに掲げるもののほか、業務に起因することの明らかな疾病

七 がん原性物質若しくはがん原性因子又はがん原性工程における業務による次に掲げる疾病

1 ベンジジンにさらされる業務による尿路系腫瘍しゆよう

2 ベーターナフチルアミンにさらされる業務による尿路系腫瘍しゆよう

3 四―アミノジフェニルにさらされる業務による尿路系腫瘍しゆよう

4~21(略)

22 1から21までに掲げるもののほか、業務に起因することの明らかな疾病

八 長期間にわたる長時間の業務(中略)による脳出血、くも膜下出血(以下略)

九 (前略)心理的に過度の負担を与える業務による精神及び行動の障害(以下略)

十 前各号に掲げるもののほか、厚生労働大臣の指定する疾病

十一 その他業務に起因することの明らかな疾病