宮迫博之さんと田村亮さんの記者会見は、吉本興業という大企業の存続を揺るがします。
少なくとも社長の引責辞任はやむを得ないでしょうし、経営陣の刷新や一部の事業再編などは避けられないと思います。吉本興業という社員1000人、所属タレント6000人、売上高は非公表ですが連結30社では1000億円を超えると予想される巨大企業としては、一連の対応を含めて経営体制は全くなっていないと言わざるを得ません。
吉本興業のWebサイトを検索してみると、右のような画面が出てきました。一般の画面を見ようとすると、6月27日付けの決意表明という文書を見てからじゃないと開けないようになっています。
すでに決意表明なるものが、全く信頼できないものであることが明らかなわけで、早々にWebサイトも立て直しをしなければならないことは誰にでも容易にわかります。
どうも、吉本興業という会社組織は、この数日で内部から壊れていっているのだろうと想像されます。
吉本興業を反面教師として、皆さんの会社の対応を考えておきましょう。(業種業界が大きく異なるので、難しいこともありますが、ポイントは同じです。)
①コンプライアンス=ルールを守る
吉本興業の場合、経営陣が「わてがルールブックや!」といった感じだったようです。ルールを守るには、先ず労使双方が納得するルールをつくらないといけません。
経営者と労働者は対等の関係です。そしてつくったルールは、労使ともに守ることが基本のキです。正直に言って、「一方的な口頭での通達?でも契約だ!」というのは無茶です。
②上位者が責任をとる
「決意表明」などという空疎な文章を発表した時点でアウトと思っていました。上位の者が下位の者に責任を押し付けるような会社は持ちません。
このブログでも何度か書きましたが、ある程度以上の組織のトップは責任をとって辞めるためにいるようなものです。会社にとって最も重要な資産はヒトですが、ヒトのうちで辞めてもらって効果は最も大きいのに業績に響かないのがトップです。
③会社の理念を共有する
どうも、吉本興業が目指しているところがどこにあるのかがはっきりしません。「決意表明」にも、30社7000人が何を目指すのかは一言も書いてないのです。
吉本興業の行動憲章は、”「笑い」を中心としたエンタテインメントによる社会貢献と、「誰もが、いつでも笑顔や笑い声をもてる社会」の実現を目指しています。”とありますが、会社としての価値観を共有できるものではないと思います。
④経営と現場が近い
吉本興業の経営者は元々は現場の方だったわけです。しかし、記者会見の話を聞くと現場との大きな距離を感じざる得ません。
経営陣は弁護士や警察OBを周りに配して、非常に風通しの悪い状況であったことは想像に難くありません。実際、「決意表明」にもこれ見よがしに警察OBや弁護士がたくさんいるぞ、と書いてありますが、誰に言っているのかわかりません。
まぁ、伝統的な芸能の世界と皆さんの会社では事情がことなるとは思います。それでも不祥事の芽が出かかっているかも知れません。ご用心ください。