自由を束縛する危害原理

「自由」という言葉の意味は、わがまま放題、やりたい放題、勝手気ままということです。

 

全ての人、全ての国、全ての組織に「自由」は保証されるべきものです。しかし、その自由を唯一束縛するのが「他人に危害を与えない限り」という危害原理です。つまり、他人に、他国、他の組織に危害を与えるような自由は制限されることになります。まぁ、当たり前です。

 

自由
自由

自由貿易という場合も、他国に危害を与えるような勝手気ままな貿易を認めることはできません。

この場合は、自由を制限するような措置を加えて、相手国の自由を制限することになります。相手国が自由を制限されたことによって、自国の不利益になったと主張しても、自己を防衛するための措置をとるには当然ながら正当です。

 

個人と社会の関係でも同じです。自由な個人は、わがまま勝手に何をしても構わないのですが、唯一他人に迷惑を掛ける行為はしてはいけません。

ちなみに、自分に対する危害や不利益は制限されませんので、どんなに不合理な行動でも勝手にやって構いません。

 

例えば、喫煙をする自由が制限されるのはけしからんという人がいます。しかし、周りに嫌煙家の人がいれば、その人の健康や心情に危害を与えるので、勝手にやってはいけません。

 

では、山の奥や海の中なら勝手に吸ってもいいかと言えば、これも微妙です。喫煙が要因になって癌を発症した際の治療費などは、保険料と税金で賄われますから他人(国民)に経済的な危害を与えるとも言えます。また、仮にたばこ税の税収との比較で収支が償われているとしても、かけがえのないあなたが病気になることで身近な人の心情が傷つくかも知れません。

 

ということで、どんな人も国も組織も、他人や他国や他の組織との関りを持たないものはないわけで、「自由」というのは何かしら干渉され制限されるものなんでしょう。つまり、自由貿易という言葉は、「過度な保護主義をとらない」というくらいの意味です。