輸出優遇除外は日本への評価を高める

いろいろ誤解があるようですが、輸出管理というのは本来厳密なものです。

 

私の勤めていた会社では、エンジニアリング機械や関連する化学薬品を輸出していました。それほど量が多いとか、頻度が高いというわけでもないので、逆に輸出管理を担当する人は大変でした。一つ一つの契約に対して、当局に申請をきちんと出さなくてはいけません。一部に海外からの部品を使った機械等の場合は、原産国の規制も確認しますから大変です。

 

瀬取り(2019.1.14)
瀬取り(2019.1.14)

それぞれの国の輸出規制は頻繁に変わりますから、毎回確認をすることは欠かせません。

 

日本政府が、安全保障上の不適切な事案がある国に対して優遇措置を見直したことは国際的な信用を高める効果があります。不適切な事案が何かを具体的に発表しないのは秘密保持の観点で仕方がないと思います。

しかし、世界の多くの国や国民には薄々想像がついていることだと思います。

 

北朝鮮への物資の流入を監視する枠組みに入ることを拒み、自衛隊の監視に対してミサイル攻撃を予告しているわけですから、何をしているかは想像に難くありません。

実際に、南から北へ物資が流れていることは、市民レベルでも多くの人が知っています。宗教関係などの純粋に人道支援を目的にした組織がおこなうのが普通です。そこで、食料や衣料品などは知っていても、知らないふりをしているわけです。

 

輸送ルートがある以上、不適切な物資の流入は以前からあったと思います。しかし、現在はこれを容認できる状況になく、しかもどうやら歯止めが効かなくなっているようです。

 

ところで、韓国をEUも最優遇していないという話がありましたが、アメリカも最優遇しておらず犯罪防止の仕訳では規制対象国に分類されています。輸出規制はそれぞれの国の判断です。

ちなみにですが、アメリカが最優遇しているのは、最々優遇しているカナダを除けば28か国で、アジアでは日本だけです。日本のホワイト国指定は27か国で、両国の指定している最優遇国はヨーロッパとオセアニアの国々でほぼ重複しています。

 

面白いのは、日本はアルゼンチンをホワイト国に指定しているが、アメリカは最優遇国としていない。アメリカはトルコを指定しているが日本はしていない。といったところです。

※アメリカの規制は日本より総じて厳しく、ホワイト国はカナダ一国だけといっていいと思います。日本の会社がアメリカ製の原材料や部品を使うときはかなり気を使います。

 

ちなみに、韓国の半導体製造や有機ELディスプレーの生産に障害になるという説が流れていますが、これは全くのデマです。ちゃんと届出をして、適切に管理をするならば許可されることは間違いないので、輸出に支障は出ません。世界の国々に最も信頼されている日本の、どの会社でも日常的にやっていることです。ご安心を。